安全運転と情報操作を両立させる、“ヘッズアップコクピット”という考え方。

統合制御システム開発本部
大池 太郎

走行中の安全な情報操作に貢献するコマンダーコントロール。

運転への集中が阻害され、注意が散漫になる“3つのドライバーディストラクション”。最後の1つは、ステアリングから“手”が離れることです。「走行中に運転以外の情報操作を行う際、姿勢の不安定さや操作の不確実性を最小化することが3つめのアプローチです。具体的には、センターディスプレイの操作を、タッチパネル方式ではなくコマンダーコントロールで行うことで、これに対応しています」。

画像:3つのドライバーディストラクションを、人間を基準にしたアプローチによって低減。

「コマンダーコントロールのメリットは大きく3つあります。まずは、①安定した姿勢で楽に操作できること。コマンダーコントロールは左手を自然に下ろした位置に配置しています。さらにアームレストに腕を置くことで、姿勢を安定させたままリラックスして操作することができます」。

「そして、②手もとを見ずに操作できること。マジカルナンバー7±2を適用した5つのボタンをコマンダーコントロールに配置し、シンプルで使いやすい設計としています」。

「さらに、③確実に操作できること。カチカチというメカニカルな触感をフィードバックし、画面表示も直感的に理解できるものとすることで、迷うことなく確実に操作できます。これら3つのメリットは、タッチパネル方式で実現することは困難で、コマンダーコントロールは走行中の安全な情報操作に大きく貢献していると考えています」。

画像:3つのドライバーディストラクションを、人間を基準にしたアプローチによって低減。

人とクルマがいかに対話できるか。HMIにも“人馬一体”の思想が息づいている。

画像:人とクルマがいかに対話できるか。HMIにも“人馬一体”の思想が息づいている。

3つのドライバーディストラクションに対して最小化へのアプローチを行った結果、実際の運転状況はどう変わったのでしょう。「決められた操作の完了度、わき見時間の長さ、ステアリングの揺れ量という観点で検証した結果、すべてのケースでタッチパネル方式よりも優れた数値となりました。つまり我々が施したアプローチに間違いはなかったというわけです。しかし、どういう数値が理想なのか、そこに決まったものはありません。この考え方をさらに磨き、進化させていく必要があるのです」。

走行安定性をすべてに優先させ、多くの情報を扱いながらも、安全に運転できるHMIを備えたコクピット。マツダはこれを“ヘッズアップコクピット”と名付け、CX-5以降の新世代商品に積極的に取り入れています。「HMIとは、つまり人とクルマがいかに対話できるかということなのです。ドライバーの意思を伝えたら、ちゃんとクルマから反応が返ってくる。そういう意思の疎通が、素早く、確実に、双方向でできている状態。このクオリティを高めていくことが我々の役割となります」。

画像:人とクルマがいかに対話できるか。HMIにも“人馬一体”の思想が息づいている。

ドライバーの気持ちに寄り添えるHMIを目指す。

そこには、まさにマツダの掲げる“人馬一体”の思想が息づいています。走る歓びや操る楽しさ。それらを味わえる土台を整えることこそが、コクピットづくりに求められる重要なポイントなのです。

この先、HMIはどのように進化していくのでしょう。「目指すべき方向性でいえば、ドライバーや同乗者が考えることをクルマがちゃんと理解して、常にさりげなくサポートしてくれる。その結果、ドライバーは自分の能力を最大限に発揮できる。そんな運転環境が理想だと思います」。その一方で、と大池。「先進技術を駆使して、より安全で便利なシステムを作ろうとするほど複雑なHMIになりがちです。それは本当に本末転倒な話です。必要な情報や機能の見極めも、進化させるのと同じぐらい大事なことだと考えています」。人間中心のクルマづくりを行うためには、人間を知らなくてはならない。でも、人間というのはわからないもの。わかったつもりでおせっかいなシステムを作ってはならないと、大池は自戒を込めるように微笑みながら話しました。


  

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