変わるものと変わらないもの。ブランドという価値。

伝統とは、革新の連続。
独自性を極めていくことがブランドにつながる。

今回のコラボレーションをはじめ、近年、伝統工芸と分野の異なる業種とが積極的に交流を図るケースが増えている。伝統、そしてブランドというものを、古くから続く工房の継承者たちはどのようにとらえているのか。自らの考えを玉川氏が語る。

「玉川堂は、今年創立199年で、来年200周年を迎えます。ここまで続いてきた理由は、先祖代々、常に革新の思想があったからだと思っています。
“伝統とは革新の連続”という言葉を私はよく使います。さらにいえば、“伝統”と“伝承”も違います。伝承は先代と同じことを受け継ぎ、それを繰り返すこと。もちろん伝承すべき部分もありますが、同じことをただ繰り返すだけでは、今の世では衰退を免れません」。

伝統とは、革新の連続。独自性を極めていくことがブランドにつながる。

「存在し続けるためには、やはり革新が必要です。これは伝統工芸に限った話ではありません。日々革新を続けていく。それが伝統であり、ブランドになるための礎だと思います。そして、革新とはお客様を飽きさせないことです。独自性の高い製品を次々と生み出しお客様を驚かせる。革新を連続させていくことが伝統であり、その上で独自性を極めていくことがブランドにつながっていくと、私は考えています」。

日本のモノづくりには一本の線がある。
これが見えているか、見えていないかが大事。

日本のモノづくりには一本の線がある。これが見えているか、見えていないかが大事。

金城氏もうなずきながら語る。

「まったく言われた通りだと思います。つけ加えるとしたら、一本の線があるんです。縄文草創期からこの地でずっと続いてきた日本のモノづくりには、連綿と連なる一本の線が通っているのです。それは、日本人ならではの心のあり方だったり、日本文化に受け継がれている美のとらえ方だったりするのかもしれません。これが見えているか、見えていないかが大事です。
その線は、それぞれの家でまったく異なるのですが、この線が見えるようになったら、決してそれを見失わないこと。それさえ守っておけば、どんな作品をつくろうとも、その作品は線の流れに乗っていることになるわけです」。

「そして異業種とのコラボレーションには、その線を束ねていく面白さがあります。2つの線が交わる。それがキラッと見えた人にはすごく面白く見える。それがないと、ただの足し算にしか見えない。本当にいいコラボレーションなら、クロスするはずです。掛け算になることで波動のようなうねりが生まれる。それがコラボレーションの面白さです。つねに線を守りつつ、また線をつくっていく。そういう作業がブランドだと思っています」。

マツダ独自の様式を模索している。
道半ばというより、まだまだスタートしたばかり。

伝統工芸とは異なる世界にあるマツダ。しかし前田の考えるマツダブランドにも、2つの工房と重なる思想がある。

「金城さんが言われた一本の線というのは、いろんなとらえ方があると思います。ブランドが確立されるまでのロードマップかもしれないし、デザインの視点で考えれば“様式”なのかもしれない。ブランドは様式がないと認知されません。だから今、一生懸命それを模索している訳です。“マツダ様式”ってネットの辞書にも載ってないでしょ(笑)。
まだまだ何も確立されていません。様式が認知されて伝統になって、それが信頼や尊敬みたいなものにつながって、はじめてブランドって言えると思います。だから、まだ道半ばというより、スタートしたばかりぐらいの感じですね」。

マツダ独自の様式を模索している。道半ばというより、まだまだスタートしたばかり。

見えてきたプロダクトデザイン。
まだ見えないブランドのスタイル。

前田がデザイン本部の本部長になって6年。その間のマツダブランドの変化を、自身はどのように感じているのだろう。

「プロダクトのデザインで表現している内容はずいぶん変わってきましたし、その質は大きく上がったと思っています。意識してきたのは、“マツダの原点とは何だろう”ということ。我々は何から始まり、何をやってきたか。そこを大事にしたいという思いで考え続けた結果、最近見えてきたのが、 “モノに命を与えていく”という行為です。それをデザインのテーマとして一連のクルマのデザインをやってきました。一方、ブランドを表現するという視点で言うと、まだまだです。マツダの様式美って何だろう?その答えを出したいと思っています。そこには当然日本の美意識が根底にあり、且つマツダのモノ創りの精神があり、それらに立脚した様式が創れて初めてブランドのスタイルが見えてくるはずです。が、まだ答えは出ないですね」。

伝統は守るものではなく、深めていくもの。
本物のモノづくりにチャレンジし続ける。

“伝統とは革新の連続”と語る玉川氏。しかし、変えるものと変えないものの見極めも大切だという。

「継承されてきたモノづくりの魂などは変えるべきではありません。しかし、変わらないことが伝統であるかのような姿勢は、違うと思う。変わらないことは「伝承」であり、革新を連続させていくことが「伝統」。つまり「伝承」と「伝統」は対極の言葉です」。

金城氏も語る。

「チャレンジすることは本当に大事です。そのうえで、何が新しいことかを考えることも重要なのです。“新しいもの”と“目新しいもの”の違いといいますか。先ほどの続きになりますが、一本の線が見えていると新しいものができますが、線が見えてないと目新しいものしかできない。学生たちに講義する機会があるのですが、目新しいほうが美しいとか、創造とかって勘違いしているんですね。古いモノを知らないと新しいモノはできない。温故知新というか、やはりそこが伝統の強みかなと思います」。

前田も続ける。

「クルマの世界でも、やはり目新しいモノに飛びつく傾向があります。新しいアイデアを創造する。新たな手法にチャレンジすることはデザイナーの本分ですからとても重要です。ですが、私はただ目新しいだけのモノには余り興味はありません。玉川さん、金城さんが言われるところの、魂、線、つまりモノ創りの志が一貫していて、その本質を追求し続け、カタチが研ぎ澄まされ、それが結果伝統に繋がっていく。そのようなデザインを創りたいと思っています。伝統って守るものではなく、深めていくものだと思っていて、そのためにチャレンジし続けることが重要だと思っています」。

伝統は守るものではなく、深めていくもの。本物のモノづくりにチャレンジし続ける。

伝統は守るものではなく、深めていくもの。本物のモノづくりにチャレンジし続ける。

伝統は守るものではなく、深めていくもの。本物のモノづくりにチャレンジし続ける。


  

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