これまで誰にも分からなかった“ノック音”の秘密が
解明された瞬間。

画像:ピストンの振動を、ダンパーの振動で打ち消す。 独自の現象解明と発想力が生んだ、革新的メカニズム。

まずはノック音が発生する原因を探りました。「やはりエンジンを運転した状態でないと、音の原因特定はできないと思いました」(神田)。高速で回転するエンジン内部の様子をどうやったら測定できるのか。神田は、過去の経験をもとに試行錯誤を繰り返しました。その結果、エンジンの運転に影響が出ないようにいくつものセンサーを高熱にも耐える特殊な接着剤でピストンやコンロッドに直接固定し、実際の運転状態でパーツの振動や伸縮を計測できる測定装置を作り上げたのです。

独自の測定装置による調査結果は、予想外のものでした。音の発生源は爆発に加え、ピストン付近の共振が原因になっていたのです。それは、これまで誰にも分からなかったディーゼルノック音の発生メカニズムが解き明かされた瞬間でした。

ひらめきが振動を約半分に抑制。

次はノック音の対応策です。これには漠然としたイメージがありました。神田は、過去の経験からピストンに振動を抑制する部品を付ければ共振を抑えられると思ったのです。しかしピストンは極めて高温になるため現実的ではありません。そこで目をつけたのが、ピストンピンの中心の穴でした。「ピストンピンは中空で、何か部品を取りつけるとしたらここしかありません。そしてピストンピンの断面を見ていると、中央が固定され、両サイドに上下に揺れる重りが付いたダンパーが自然と浮かんできたのです」(神田)。

画像:ピストンの振動を、ダンパーの振動で打ち消す。 独自の現象解明と発想力が生んだ、革新的メカニズム。

画像:ピストンの振動を、ダンパーの振動で打ち消す。 独自の現象解明と発想力が生んだ、革新的メカニズム。

その部品は、いわば“制振装置”のような役割を果たします。「考え方は間違っていないと思いました。しかし実際に計測するまでは、狙い通りに動くのか、自分でも分かりませんでした」(神田)。その結果、「共振レベルが最も高かった3.5kHz付近の振動が、約半分の数値に下がっていたのです。これには興奮しました。思わずまわりにいた仲間と握手したほどです」(神田)。こうして、技術者たちの執念とひらめきから「ナチュラル・サウンド・スムーザー」という革新的な技術が誕生したのです。


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