ロードスター RF 開発物語 Vol.4 2/3

生産工場の創意工夫が切り開く、
設計&デザインの自由。

車両組立技術者
中村 貴樹

“だれもが、しあわせになる”。初代から大切に育み続けてきたロードスターの魂を受け継ぎ、ロードスター RFは開発されました。
意のままにクルマを走らせる歓びをあらゆる人に感じてもらいたいと願い、完成させたロードスター RFの開発の物語をご紹介します。

熱い創意をそのままにお客様の元へ届けるために。
難題に受けて立つ、という志

ロードスター RFが、生産現場にとって前例のないほど難しい1台になることは、その構想が決まった時点ですでに明らかでした。

「全体のイメージが示された開発初期の段階で、そもそも造れるのか、と思えるほどたくさんの課題が浮かび上がりました。そこで私は、いくつかの提案を持って、デザイナーやメカニズムを設計するエンジニアの下へ足を運びました。」

「例えば、ドアガラスの形状が、ソフトトップモデルでは後端が丸くデザインされているのに対して、RFでは角張っています。効率的で確実な生産のためにはソフトトップモデルと共通化することが望ましいと、私は伝えました。ところがデザイナーからは、美しいデザインのポイントであるだけでなく、良好な視界の確保等々、深く熟考された末に導き出された唯一無二のカタチで、絶対に妥協できないという熱い言葉が返ってきました。」

例えば、ドアガラスの形状が、ソフトトップモデルでは後端が丸くデザインされているのに対して、RFでは角張っています

の難関は、美しいデザインと複雑なリトラクタブルハードトップの開閉メカニズムの両立にありました

「生産に伴う苦労と、熟考されたお客様のための創意のどちらを採るのか、という話です。事情が分かった私は、もちろんうなずきました。やりましょう! そのための方策を創造するのが、私たちの仕事ですから。」
そしてロードスター RFの実現に向けた最大の難関は、美しいデザインと複雑なリトラクタブルハードトップの開閉メカニズムの両立にありました。

「デザインと機能の両面から徹底的に突きつめられたリトラクタブルハードトップの設計図を見たときに、これは尋常でないと直感しました。隣り合う部品同士が、ハードトップの開閉状態に係わらず、常に狭い空間の中にびっしり並んでいるんです。わずかでも組み付けがずれると、開閉動作の途中で干渉する可能性があります。

マツダでは、正常に機能することや、異音や振動の発生を防ぐクルマづくりを“当たり前品質”と呼び、そのクルマらしさを特に力を込めて表現したいピンポイントの作り込みを“魅力品質”と呼んでいます。ロードスター RFのリトラクタブルハードトップは、当たり前品質を実現すること自体に極めて高い技術力が求められ、そしてそれがそのまま魅力品質につながる雰囲気にあふれていました。

もし、たった1台をたっぷりの時間と何名もの組み付け職人で仕上げることが許されるのであれば、ハードルはそれほど高くないでしょう。けれどもマツダの製造ラインは、デミオからロードスターにいたる、あらゆるモデルが渾然一体となって流れてきます。そのような製造ラインの流れを滞らせることなく、何千、何万台というロードスター RFを高品質のまま安定的に造らなければならないということです。」

彼らの熱さに、これは自分たちもやらなければ、と突き動かされたという感じなんです

「どうするか? 知恵を絞って絞って、絞りきる。知恵と努力は、道を開きます。私に残された道は、それしかないんです。なぜなら私は、エンジニアやデザイナーの下に足を運んだ挙げ句彼らに説き伏せられてしまった、というわけではありません。彼らの熱さに、これは自分たちもやらなければ、と突き動かされたという感じなんです。よし、受けて立ってやるって決意したんですから、やらんわけにはいかんでしょう。」


  

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