その先にどんな可能性があるか、
まだまだ神秘的なエンジン。

技術屋の視点で言うと、ガソリンエンジンは、あとどれくらいの進化をすれば理想的なエンジンになるのか見えているそうです。それに対してディーゼルは、まだ理想のエンジンになる山の頂上は見えていない。どこに技術的な壁があるか、その先にどんな可能性があるか、まだまだ分からない神秘的なエンジンです。

モータージャーナリスト 清水和夫さん

だから、「これまでになかった技術を生み出したい」という、チャレンジングスピリットを持つ技術者が、いまこぞってディーゼルを研究しています。マツダのSKYACTIV-Dに関して言えば、ディーゼルエンジンの小型軽量化をここまでやったのは相当すごい。それに、他のメーカーも難しいとされている5000回転以上回るディーゼルエンジンを開発していることから、走りへの強いこだわりもうかがえます。今のマツダのディーゼル開発部の技術革新に対する考え方は、世界で初めてアメリカの厳しい排ガス規制法であった1970年代のマスキー法をクリアした当時の、故本田宗一郎さんに近いと思いますね。

ディーゼルは、回転を上げるのが不得意なエンジンで、むしろ回転の低いところにトルクがあるのが特長です。トルクとパワーの違いで言うと、時間に関係なく、どれだけ重たいものを持ち上げますか、というのがトルクで、ディーゼルの場合、このトルクが大きい。だけど単位時間あたりの出力であるパワーが小さいのでスピードがそれほど出なかった。もともとドイツでもディーゼル車は、アウトバーンの走行車線を走れなかったんです。重いものを運ぶ力には長けているので、トラックやバスで使われていました。だけどスピードは出ない。だからディーゼル革命で、ヨーロッパでディーゼルエンジンが普及していった最大の理由は、速くなったことが大きかったと言われています。アウトバーンでBMWやポルシェを追いかけられる、そんなディーゼルが出てきた。それは、エンジンそのもののパワーを上げる、つまり、回転が上がるようなディーゼルエンジンができたからです。トルク×エンジンの回転数がパワーになるので、回転を上げられないエンジンはスピードを出せません。スピードを上げるっていうのがディーゼルの課題だったので、90年代にドイツの24時間レースで、BMWがディーゼル車でレースに出たりしました。あと、ル・マン24時間を制したアウディがディーゼルですよね。気がついてみたら、もうディーゼルでないと耐久レースは勝てない時代になっています。

乗った人から虜になる
ディーゼルエンジンの魅力。

また、単純に走りが気持ちいいというのも、ディーゼルの魅力のひとつです。政府のディーゼル普及委員会の中にいたときの話です。当時の委員会のメンバーが、大学の先生たち、シンクタンク、オピニオンリーダー、自動車メーカーの方など、20人くらいいましたが、そのときの最新のヨーロッパのディーゼルに乗ったことある人は、ほとんどいなかった。

Story of Diesel

乗らないでみんな、頭で考えていたんです。燃費は、効率は、CO2はって。じゃあ、試乗会をやりましょうというので、那須のテストコースをヨーロッパのボッシュが持っていたのでお願いして、その委員全員で乗りに行きました。それまでディーゼル推進派は、3人ぐらいしかいなかったのですが、もう、みんな、オセロゲームみたいに、賛成、賛成って(笑)。だから、結局、燃費がいいとかそういうことよりも、単純に乗ると好きになってしまうんですね。乗って気持ちがいいかどうかが、欲しくなるかどうかの、最終決定モチベーションになると思います。カタログ的なこと、燃費もいい、燃料代が安いとか、そういう理屈はいくらでも言えます。でも、最後の動機は、気持ちがいいかどうかだと思いますね。


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