ボンネット-story_title

初代NAが誕生して来年で30年が経過する。

1989年の量産開始から8年間量産ラインで製作されていたアルミボンネットは、生産が打ち切られた後は、補修部品として、プレス金型の段取り替えをはじめ、溶接、アッセンブリー、仕上げの工程が全て手作業で行われている。

NAロードスターのアルミボンネットがどのように作られているのか、その現場に密着した。

その現場は本社工場・車体製造部第1車体課にある。ロードスター(NA,NB,NC)以外にもボンゴ、アテンザ、トリビュート、プレマシー、デミオ、ベリーサ、RX-8、CX-7などの補修部品も製造している。1車体課は、プレス工場から送られてきたボンネットのアウターパネルとインナーパネルを組み立て完成させる工程を担当している。組み立てられたボンネットは、その後塗装メーカーでカチオン塗装された後、補修部品として世界中のお客様に届けられる。最初の工程は、ボンネットインナーへのレインフォースメントのスポット溶接である。30年前のアッセンブリー治具にセットし位置決めをして溶接を実施する。最近は自動化された摩擦接合が主流だが、NAロードスターは、アルミのスポット溶接がひとつひとつ丁寧に施される。

ボンネット・インナーパネル

ボンネット・インナーパネル

溶接治具は30年前から使い続けている

溶接治具は30年前から使い続けている

ボンネット・アウターパネル

ボンネット・アウターパネル


アッセンブリーが終わったインナーパネルは、さらにアウターパネルとのアッセンブリーが行われる。 ロボットによって、数十か所に充填剤が注出され、それに合わせて接着剤も塗布される。

ロボットでインナーパネルに充填剤を注出する

ロボットでインナーパネルに充填剤を注出する

アウターパネルにも接着材が塗布される

アウターパネルにも接着材が塗布される


その後、大型のヘムプレスマシンに自動送りされて、アッセンブリーが完成する。

"インナーパネルとアウターパネルは大型のヘムプレスマシンでアッセンブリーされる
"インナーパネルとアウターパネルは大型のヘムプレスマシンでアッセンブリーされる

インナーパネルとアウターパネルは大型のヘムプレスマシンでアッセンブリーされる


しかし、ここで終わりでない。完成品は、熟練の職人の目で念入りに品質チェックが行われ、表面の小さな傷は手仕上げで修正され、ようやく完成となる。マツダの卓越機能者資格を有する職人の手によって厳しく品質が作りこまれていくのである。

部品は一つ一つ熟練の手によって仕上がられていく
部品は一つ一つ熟練の手によって仕上がられていく
部品は一つ一つ熟練の手によって仕上がられていく

部品は一つ一つ熟練の手によって仕上げられていく

ここで現場のキーパーソンに、担当する作業においてこだわっている点をたずねた。


於保 遂大さん

入社後すぐNCロードスターを購入し、運転が好きになりました。九州一周などのドライブに出かけた思い出があります。
出荷部品は、お客様が要求している部品です。不幸にして事故されても修理して乗り続けてもらう、そんなお客様がマツダ車を愛して下さっている、そんな責任を感じています。ボンネットの隙間と段差はお客様がダイレクトに見る点なので、特に大事だと思ってこだわって作りこんでいます。


有房 祐輔 さん

NAボンネットの品質確保については途中で変化点がありました。最初はボンネットのヘムに溶接があったが、溶接は歪みが出やすいので、ヘムの溶接を全周シーラー接着に変えることによって、溶接を廃止する活動行いました。26年経った時点での大きな変化点だと思います。出荷部品は古いからといってもお客様には高いお金を払ってもらっています。長年たったから品質が落ちてはならない、そう思って品質確保に取り組んでいます。


垰 邦彦さん

まず、出荷部品を皆がどういう意識でとらえるかということが一番大事だと考えています。 永続的にマツダ車を愛して頂く為に修理しても必ず元の姿に戻せることができる。そういう意味で出荷部品はお客様に一番近い存在である、ということを皆に意識づけさせて取り組んでいます。また、出荷部品はハンドで組み立てて行く中で、いかに同じものを作り続けていくかが難しいところだと考えています。作業は作業者のノウハウや感覚にゆだねられている点が大きく、そこを如何に標準化していくかが大事だと考えています。ガンを挿入する角度であったり、持ち方だったり、そういったところビデオを撮りデジタル化で見える化し標準化しようとしています。その中でも大事なことは、声を「聴く」こと。作業者の声ももちろんだが、今回の様にレストアチームからの声に反応する、そこが大事なのです。そして、彼らがそれを聴いてより良くしようと体現ししている姿が大切だと思います。


松井 克真さん

私は、いつも「お客様の笑顔のために、走る歓びをお届けしたい。」を意識して業務に取り組んでいます。常に「マツダらしい」とはどんなクルマなのかを考えているのですが、やはり「見てカッコいい」そして「乗って楽しい」というのが、「マツダらしいクルマ」と私なりに定義させてもらっています。実は私は20年前に入社してNAロードスターを購入し乗っていました。買った時のことを思い出すと、家族や友達に自慢しましたね。本当に愛らしいクルマでした。当時は趣味だったスノーボードやサーフィンなども助手席に板を乗せて、よく島根浜田の海にいったことを思い出します。今回、NAレストアが始まって、まだ国内に約22000台お客様が大事に乗って頂いているという情報をきいて、この出荷部品を大事にしないといけないと改めて思いました。NAのボンネットは30年使ってきたこれまでの金型、そして、30年使ってきた治具に感謝しないといけない。先人はこうやって作り込んでくれていたんだと。ずっと作り続けているのだから多少の問題は出るかもしれない、そこをきっちり我々の技能で作り込もう、そして「唯一無二」のクルマにしようやとポジティブに考えようと、そんな話をメンバーとしました。
私達も思い出のあるNAの仕事に携われることを感謝しております。このNAレストアプロジェクトは永久に続くという話をお聞きしたので、これからも、私達1車体課は、「お客様の笑顔のために、走る歓びをお届けしたい。」を常に意識して業務に取り組んでいきます。


車体製造部第1車体課ボンネット職場の皆さん

車体製造部第1車体課ボンネット職場の皆さん

今回の訪問を終えて1車体課のメンバーがお客様の笑顔のために、出荷部品の品質作りこみへの誇りと熱い情熱を感じることが出来た。NAロードスターのボンネットは世界中のお客様の元へ出荷されていく。そのボンネットに込められた想いがお客様にもきっと伝わることを願っている。