
マツダは、自動車の樹脂部品のリサイクルに積極的に取り組んでいます。とりわけ大型の樹脂部品であるバンパーのリサイクルに注力し、損傷バンパーを再びバンパーの素材として利用する「パンパーtoバンパーリサイクル」技術を確立しています。

マツダは環境問題への対応、及び資源の有効利用の観点から市場損傷バンパーの回収、再利用を実施しています。1992年より、業界でいち早く回収・再利用を開始(アンダーカバー等に適用)、2001年には、機械的物性低下の原因となる塗膜を除去してバンパー補強材等への適用を開始しました。更に、通常の新車バンパーに適用するには、塗装外観を確保するため、更に塗膜除去レベルを向上させる必要がありました。マツダでは、このバンパーへ適用可能なレベルに塗膜を除去するプロセスを開発しました。
- 塗膜除去率の目標設定
従来のプロセスで塗膜除去した再生材の塗膜除去率は98.50%で、塗膜の残存率は1.50%でした。この再生材を30%新材に混入した場合は、塗装の外観基準を満足しませんでしたが、新材への再生材混入率を徐々に下げていくと、再生材混入率3%で塗装外観基準を満足しました。再生材の混入目標を30%とすると、塗膜の残存率は現在の1.50%から1/10の0.15%にする必要があり、塗膜除去率は99.85%以上を目標としました。
- 塗膜除去率向上のための着眼点
バンパー粉砕後に従来の塗膜除去プロセスで処理した粉砕品について、塗膜除去レベルを詳細に観察したところ、ほとんどの粉砕品に塗膜は見られず、一部の粉砕品のみに塗膜が残存しているこ
このことにより、仮に10mm2以上の面積の残存塗膜が付着した粉砕品のみを選別して、除去できれば、塗膜除去率を向上させた再生材を高い収率で得ることが可能であると考えました。なお、ここでの収率は(塗膜なしとして選別された粉砕品数/全粉砕品数×100)と定義します。
- 選別メカニズム
バンパー粉砕後に塗膜剥離処理した粉砕品を、選別機のホッパーに投入し、シューターを通過後、所定の位置で光とCCDセンサ(A)により、粉砕品を認識します。この時、粉砕品に塗膜が付いていると、その色は粉砕品(黒色)よりも強い反射強度を放出するため、これを検知し、その直後にエアエジェクター(B)により、選別・除去するものです。
この選別機により処理された粉砕品の塗膜除去率の平均値は、従来の98.50%から99.85%に向上することが可能となりました。
マツダは、廃棄処分された使用済自動車のバンパーを新車用バンパーの樹脂材料としてリサイクルする工程技術を世界で初めて開発しました。この技術により、これまでは難しいと考えられていた異なるメーカーの廃棄バンパーの同時処理や、金属類等の除去の自動化を実現し、より効率的にリサイクルすることができます。
これまでは、使用済みバンパーを破砕する前に目視と手作業による金属などの異物除去の作業が必要であり、リサイクルの効率化に向けた課題となっていました。この工程においては株式会社サタケ※と共同で、穀物用石抜機を活用することで振動と送風により破砕後のバンパーから金属を確実に除去する技術を確立し、自動的に異物を除去する新しい効率的なプロセスを実現しました。
また、自動車メーカーや製造年代の違いにより、バンパー用ポリプロピレン材の組成や塗膜との密着性が異なるため、従来の技術では同時に塗膜を除去することができなかった問題を解決し、あらゆるメーカーや製造年代のものでも同時にはく離できる工程の実現にも成功しました。この工程においてはゴムや樹脂など化学製品や食品加工等に利用されているニーダー混練機を活用し、破砕した固体状態のバンパー樹脂に強いせん断応力を加えることで材料組成や塗膜の密着性に左右されない塗膜はく離技術を確立しました。

