問題は「エンジン」ではなく、「燃料」にありました。

そもそも、ディーゼルエンジンの開発者、ルドルフ・ディーゼルはとても進んだ考えの持ち主でした。彼が生きていた1900年初頭のヨーロッパにおいて、ガソリンは燃料としてキレイな上澄みみたいなもので、食肉に例えるならヒレ肉のような高級品。彼の地元であるドイツの田舎では当然手に入らない。だからルドルフは、その地域で採れる「ピーナッツ」を燃料にできないかと考えた。

モータージャーナリスト 清水和夫さん

それがディーゼルエンジンの起源です。「地産地消」で採れるもので動くエンジンをつくりたい。その発想は、今の時代にも通用する考え方ですよね。

国内では、どうしてもダーティーなイメージがあるディーゼルですが、エンジン自体の問題よりも、じつはディーゼルの雑食性のせいであるとも言えます。別名「ブタの胃袋」とも言われるディーゼルは、何でも食べるブタのように、どんな質の燃料でも動いてしまうというエンジンです。だから、不正軽油と言われる、砂や硫黄が混じった軽油や、コールタールからつくられる質の低い燃料が使われてしまい、それのせいで排気が汚いイメージがついてしまった。つまり、エンジンではなく、燃料の方が問題なのです。ディーゼルエンジン自体もこれまでよりもクリーンに燃焼する仕組みができているので、昔のようなことはありません。燃料としてのガソリンをつくるときは、必ず軽油も一緒にできるので、本当は両方ともムダなく使ったほうがいい。ドイツでは軽油が足りなくなったことがありますが、日本では今軽油が余っています。さらに日本は、世界一軽油の質がいい国だとも言われているのです。これを輸出すると、輸送時にCO2が排出されますし、何よりもったいないですよね。ディーゼルエンジン搭載車に乗ることは、エネルギーのバランスを考えても、とても良い選択だと思います。

実は全て整っている
日本のディーゼル環境。

燃料を牛に例えるなら、日本では1頭の牛をさばいて、みんながヒレ肉を食べて、ロースを食べなかったということですね。ホントはロースはロースでおいしいのに。だから余ってしまう。これを中国に輸出したりして、そうするとまたCO2が出ますよね。だから、誰かがロースを食べないと。ドイツでは日本の逆で、軽油をロシアから輸入して、余ったガソリンはカナダに輸出するようなことをやらざるを得ないときがありました。

Story of Diesel

エネルギーは、バランスで考えなければいけないので、当時の検討委員会で試算した数字でいうと、日本全体では、トラックなどの商用車はディーゼルが多いので、乗用車のおよそ30%がディーゼル車になればエネルギーのバランスがいい。10台中3台ぐらいディーゼル車になると、トータルのCO2が、じつは減るのです。また、日本は2005年前後から、軽油をきれいにしています。現在、10ppmまで下げられたサルファーというのは、世界で一番クリーンな軽油です。しかも軽油が、ガソリンより15%も価格が安い。そんな国は、世界で日本だけ。だから日本でディーゼルをしっかり押し上げる環境は、もう全部整っていると言っていいと思います。


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