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子どもに適切なチャイルドシートは?乗車位置は?
チャイルドシートにまつわるパパママドライバーの疑問と悩みにチャイルドシート専門店スタッフがこたえます!

   

本記事は2025年2月に撮影しました。また、掲載される情報は2025年4月時点のものになります。

   

多くの車は大人が乗ることを前提に設計されており、まだ体の小さなお子様にとっては、シートやシートベルトが体格にフィットせず、万が一の事故の際に大きな危険が伴います。そこで必要になるのが、お子様の体格に合ったチャイルドシートです。

 

国土交通省の資料(2009年)によると、事故発生時の致死率はチャイルドシートを着用している場合0.1%であるのに対し、非着用の場合は0.39%と大きな開きがあります。道路交通法で、6歳未満のお子様に対するチャイルドシートの使用が義務付けられていますが、「義務だから付ける」のではなく、お子様と安全なカーライフを送るためには、チャイルドシートは不可欠な存在です。

 

しかし、こうした大切な存在なだけに、「本当に我が子に合うチャイルドシートを選べているのか?」「正しく装着できているのか?」と、不安に感じる保護者の方も多いでしょう。

 

今回はチャイルドシート専門店「CHILDSEAT LAB.」でお子様を持つ多くのドライバーをサポートし、疑問や悩みにこたえるコンシェルジュに、チャイルドシート選びのポイントや、装着のポイントを聞いてみました。

   

   

   

岡田 有未(Arimi Okada)

CHILDSEAT LAB.クライアントアドバイザー(コンシェルジュ)。ベビー用品の楽しさ、奥深さに魅せられ入社。「自分が学びをお伝することで、お客様、そしてお子様が笑顔になっていただけたら嬉しいです!」という思いとともに、多くのパパママドライバーの悩みにこたえる。

   

チャイルドシート選びの基準は、まずはお子様の身長

   

ー まずは、チャイルドシート選びの基本を教えてください。年齢、体格など選び方にはいくつかの軸があると思いますが、なにを基準に選べばいいでしょうか?

   

岡田さん:まず、チャイルドシートには大きく分けて乳児(新生児)用、幼児用、学童用(ジュニアシート)の3つの分類があり、お子様に合わせて適切なものを選ぶ必要があることを知っておくと良いでしょう。

 

そして、チャイルドシートの選び方は、2023年9月1日から適用された安全規則「R129」では、お子様の「身長」を基準とするようになりました。これは以前の規則「R44」との主な違いです。

   

   

R44とR129の主な違いを挙げると、以下のようになります。

 

後ろ向きチャイルドシート装着期間の延長

R44では後ろ向き装着は12ヶ月頃(体重9kg未満)までとされていたが、より安全性を高めるため、15ヶ月未満(身長76cm未満)までに期間が延長

 

チャイルドシート選びの基準が体重から身長に変更

R44では子どもの「体重」が選定基準だったが、R129ではより個人差の少ない「身長」が基準に

 

チャイルドシートに対する側面衝突試験の追加

従来は前方・後方衝突試験のみだったが、新基準では側面衝突試験も追加

 

試験用新生児ダミー人形へのセンサーの追加

チャイルドシートの衝突試験で使用される新生児ダミー人形はR44ではセンサーなしのものが使用されていたが、センサー付き人形の使用が必須になり、子どもの身体にかかる負荷の計測精度が向上。製品がより安心して使用できるように

 

特に 前向きのチャイルドシートを選ぶ際には注意が必要です。R129規則では、前向きで使用するためには「身長76cm以上」「月齢15ヶ月以上」という、両方の条件を満たしていることが必要です。

 

例えば、お子様が身長76cm以上だからといって 「もう前向きでOK」 と思ってしまうのは誤解で、月齢が15ヶ月以上であることも確認しなければなりません。この点は意外と見落としやすいため、前向きチャイルドシートを検討する際には、必ずチェックするようにしてください。

   

ー 後ろ向きチャイルドシートもかなり使用されるようになってきましたね。

   

   

岡田さん:後ろ向きは前向きと比較して、万が一の事故の際、お子様の頭部や頚部へのダメージ軽減が期待できます。R129では月齢15ヶ月未満、身長76cm未満のお子様は後ろ向きを使うことがルール化されていますが、より安全性を高めるために、月齢15ヶ月、身長76cm以上であっても、後ろ向きを使うことを検討していただきたいです。

チャイルドシート、正しく装着できている?
お子様はきちんと固定できている?

   

ー 続いて気になるのは、チャイルドシートをきちんと車のシートに装着できているかどうかです。

   

岡田さん:以前はチャイルドシート装着にシートベルトを利用する方式が主流でしたが、これには誤装着が多いという課題がありました。

 

シートベルトで装着する場合、装着後に手でチャイルドシートを動かしてしっかり固定されているかどうかを確認するしかなく、固定したつもりでも実は緩んでいた……、ということも少なくありませんでした。

 

しかし、現在は 「ISOFIX(アイソフィックス)」 という固定方式が主流になっています。ISOFIXは、車体にあらかじめ取り付けられている金具(固定金具)を使って、チャイルドシートをガッチリと装着できる仕組みです。2012年7月以降に発売された車両には、ISOFIX対応が義務化されているため、多くの方がこの方式を利用できるでしょう。

   

MAZDA CX-5の場合、シートにISOFIXのバッジを装着し、チャイルドシートの取り付け位置を示しています。

   

ISOFIX対応のチャイルドシートを正しく装着するためには、以下の3つのパーツの確認が重要です。

 

・ISOFIXコネクター(チャイルドシート本体を車の金具に固定する部分)
・サポートレッグ(チャイルドシートの脚部。車の床に接地させることで、シートのぐらつきを防ぐ)
・トップテザー(チャイルドシート背面の上部と車のシートをつなぎ、前方への傾きを防ぐベルト)

 

ISOFIX対応のチャイルドシートの多くは、これらのパーツにインジケーターがついており、正しく装着できると「緑」に変わります。つまり、インジケーターを確認するだけで、きちんと装着できたかが分かるため、誤装着が起こる可能性はシートベルト固定式と比べて低くなりました。

   

   

それでも、注意が必要なポイントもあります。例えば、サポートレッグがしっかり床に接地しておらず、不安定になってしまっていたり、トップテザーが緩んでいたりするケースがあります。
このようなミスがないか、装着後に必ずインジケーターをチェックしながら確認することが大切です。ISOFIX対応のチャイルドシートを選べば、装着の手間や不安はかなり軽減されますので、これから購入を検討される方はぜひ注目してみてください。

   

ー 車のシートを傷つけないようにチャイルドシートと車のシートの間に、傷防止用の保護マットを敷くケースがありますが、安全面で懸念はないでしょうか?

   

岡田さん:ISOFIX対応のチャイルドシートの場合、固定の要になるのは固定金具なので、大きな問題はないでしょう。ただし、シートベルト固定式のチャイルドシートの場合、保護マットが固定強度を低下させてしまう可能性がありますので、一層の注意が必要です。

お子様を正しくチャイルドシートに乗せるには

ー 我が子をきちんとチャイルドシートに固定できているかも気になる部分だと思います。

   

岡田さん:そういった悩みを持つお客様はやはり多いです。固定のための調整や手順をご説明しますね!

   

POINT 1:新生児の場合は新生児クッションを忘れない

   

   

身長が60cmになるまでは、小さなお子様をきちんと固定するための新生児クッションを必ず装着してください。そして、60cmを超えたら取り外すことも忘れないようにしてください。

   

POINT 2:お子様の腰の位置を正しく合わせる

   

   

お子様がチャイルドシート上でふんぞり返っているような姿勢になってしまっていることを見かけますが、これではお子様をきちんと固定できません。お尻がシートの奥にくるように、背中とシート背もたれがまっすぐ着くように座らせてあげてください。
ベルト固定金具がお尻の下ではなく、きちんと股にあるのが、正しいお尻の位置の目安と考えてください。

   

POINT 3:ヘッドレストとベルト位置を適切な高さに調整する

   

   

新生児クッションが外れるようになったら、ヘッドレストの位置調整も忘れないようにしてください。「子どもが大きくなって、シートが窮屈そう」というご相談をよくいただきますが、見てみるとお買い上げになったときからヘッドレストの位置が変わっておらず、ヘッドレストがお子様の背中部分にある、というケースを見かけます。ヘッドレストの位置調整はお子様の頭部の頭部を正しく保護するだけでなく、ベルトを正しく締めるうえでも重要です。

   

   

ヘッドレストを上げることで、ベルトの位置も上がるモデルも多いのでお子様の体格、成長に合わせて、ヘッドレスト位置はこまめに調整してください。適切なヘッドレスト位置の目安は、ベルトの付け根とお子様の肩が平行になるところです。

   

POINT 4:適切な締め具合でベルトを締める

   

   

ベルトをきつく締めると窮屈でかわいそうだからと、ゆるゆるにしてしまうのも、よく見かける間違いです。安全のためには、もちろんベルトをきちんと締めないといけません。また、ゆるいとお子様が腕を抜いてしまう可能性もあります。締め具合の目安はベルトとお子様の鎖骨の間に、大人の指1本分の高さがあるくらいです。

   

ー よく分かりました!助手席、後部座席などシートが複数あるなかで、チャイルドシートをどこに装着すべきかも気になります。

   

岡田さん:JAFでは2列シートの場合、後席助手席側を推奨しています。これはお子様の乗せ降ろしといった作業は安全な歩道側、つまり車両の左側で行うのが望ましいからです。チャイルドシートを装着する際は、後席助手席側を第1選択にしていただきたいです。
助手席へのベビーシートやチャイルドシートの取り付けですが、後ろ向きのものを助手席には絶対に取り付けないようにしてください。万が一エアバッグが作動した際、その衝撃によってお子様が大怪我をしてしまうリスクが前向き以上にあるからです。また、同様の理由から、前向きのものであっても、可能な限り装着は避けてください。ドライバーの方の手の届く範囲にお子様を置きたいというお気持ちはよく分かりますが、どうか安全を最優先にして、装着位置を選んでいただきたいです。

たくさん褒めてあげて、
お子様とのカーライフを楽しんで

ー いろいろ教えていただいて、勉強になりました!最後に、小さなお子様とカーライフを楽しむ秘訣があれば教えて下さい。

   

岡田さん:せっかくお出かけするなら、お子様にもご機嫌で楽しくドライブをしてほしいですよね。そのためのちょっとした秘訣は、たくさん褒めてあげることです。「ちゃんとシートに座れたね!」「ベルトを上手にできたね!」など、お子様の小さな成功を見つけて、その都度、褒めてあげることで、お子様も楽しい気持ちになり、機嫌よく車に乗ってくれることが多くなります。チャイルドシートが「楽しい場所」と思ってもらえれば、スムーズに乗せられるようになると思います。
ぜひ、ニコニコ顔のお子様とともに、快適で楽しいカーライフをお過ごしください!

   

ー ありがとうございました!

   

   

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