「楽しみながら、挑み、学ぶ。」
そんな想いで、レーシングオレンジのロードスターは生まれました。

塗装領域担当

(生産技術部門) 安藤 彰 / 稲垣 雄太

(製造部門) 山本 幸平 / 仲山 敦雄

塗装は、塗料の特性、塗り方、塗装ブースの空調など、工程の中のさまざまな要素により、その美しさや機能など品質を決めています。これはまさに、部門を超えたチームワークなしには実現できないこと。ロードスター30周年記念車の特別なカラーには、マツダの塗装領域メンバーのこだわりという特別な輝きが宿っているのです。

安藤

塗装は、外観の美しさはもちろん、耐久性などの機能も求められます。私たち生産技術では、それを量産工程で保証するために、クルマの構造や塗装材料、工法の評価や検討などを行っています。

稲垣

その中でも、私は塗装工程の設計を行っています。具体的には、ボディを塗装するロボットのプログラミングや塗装材料の設計などを行い、量産するクルマの品質を保証する工法を考えるわけです。今回のレーシングオレンジでも、ファンの方の期待に応える塗装品質の確保を念頭において、工程を設計しました。

山本

製造部門の私が担当しているのは、下塗りされたボディに“色”と“艶”を塗り込むという工程です。これには、熟練の職人が手作業で行う工程と、その優れた手作業を忠実に再現するようにプログラムされた塗装ロボットが行う工程があります。

*写真(左):山本 幸平 (右):稲垣 雄太

クルマを選ぶ際に、ボディカラーは重要なポイントとなります。だからこそ、いい意味でお客様が選ぶのに困るほどの美しい色をつくり出したいと思っています。これを実現するには、職人の技能や技術をつねに向上させることが大切で、同時に工程の効率化という側面では、いかにそれらの技能や技術を機械に落とし込むかという問題にも取り組まなくてはなりません。

そういう作業は難しくもあり、この仕事の醍醐味でもあります。たとえば、塗り方、エアーの圧力、塗装室の空調など、さまざまな条件を最適化する必要があります。そういう課題に対し、メンバー全員が意識を統一して解決に取り組んでいくのは、塗装工程ならではの面白さだと思います。

仲山

私は、塗装されたクルマを保護する目的で、ラップフィルムを手作業で貼る工程を担当しています。主に海外向けになりますが、輸送中のクルマを不慮の傷や酸性雨などから守るための作業ですね。強風や温度変化の激しい環境下でもフィルムがはがれないように、貼りつけには細心の注意を払っています。美しく塗装されたクルマを、美しいままお客様に手渡すために、ラッピングという作業はとても重要な役割を担っていると思います。

安藤

ロードスターの30周年記念車については、開発の時点からすごく気になっていました。特別仕様で車両部品などが追加になると、それらを塗装する工程も考えなければなりません。ある意味、マツダを象徴するモデルといっても過言ではない存在なので、ファンの方の期待を裏切らない特別なクルマにしっかり仕上げたいと思いました。

稲垣

今回の30周年記念車はオレンジのソリッドカラーとなりましたが、ソリッドカラーで狙いの色を出すには塗装の膜厚が均一でないといけないんです。ロードスターのボディは複雑な曲面で構成されているので、ボディ形状に合わせて均一に膜厚をつけていくのがとても難しかったです。

しかし苦労のかいあって、狙い通りの色を表現することができました。ソリッドカラーは色の反射ではなく、色そのものの美しさが目に飛び込んでくる。そういう強い色味は、ライトウェイトスポーツカーのロードスターにとても似合うと思いました。

安藤

30周年記念車では、今までにない試みにも取り組みました。たとえば、エンジンルームやドアの開口部のような、内板部分の色。通常は外板、いわゆるボディカラーとは異なる色を塗るのですが、今回は同じ色味を施しました。実は、この作業はかなり大変で、生産技術と製造が一体となって取り組んだからこそ実現できたのです。

山本

たとえば、ドア内板は職人の手吹きによって仕上げたのですが、今回の塗料の特性上、数μm(マイクロメートル:1mmの1/1000)の塗膜の厚みの差で、色の美しさを再現できないことがあります。何度もシミュレーションを重ね、作業訓練を積み、工程を見直してより丁寧に作業できるようにしたことで、狙い通りの美しいオレンジを表現することができました。クルマの乗り降りの際も、30周年記念車の特別なカラーを楽しんでいただけると思います。

稲垣

今回の細部へのこだわりは本当に苦労しましたが、開発や検査部門のメンバーからも「見栄えがいい!」と評価されて、とてもうれしかったですね。

山本

私たち塗装担当の信念は、「できない」とは言わないことです。どうやったらできるかを考えるのみ。今回の30周年記念車も、美しいソリッドカラーを表現することはもちろん、お客様の目には触れないかもしれないところまで、しっかりと塗り込むことができたと思います。難しい挑戦でしたが、チームがひとつになって、こだわりをもって取り組めたからこそ成し遂げられたのだと思います。

安藤

今回の30周年記念車など、ロードスターは数年おきに限定車を発表してきました。そのたびに、社内のさまざまな部門がプロジェクトの実現に向けて一体となって動きます。私が思うのは、そういう現場に身をおいて、真剣に議論し、工夫しながら特別なクルマを創造していくことは本当にやりがいがあるということ。「楽しみながら、挑み、学ぶ」。このような自分たちつくり手の想いは、きっとお客様やマツダファンの方にもクルマを通して伝わっているんじゃないかと信じています。

これからもロードスターはきっと進化していきます。自分は塗装という領域で、いろんな人の想いや期待が込められたクルマづくりを実現することで、貢献していきたいと思います。

稲垣

マツダの塗装に対するこだわりは、お客様にもしっかり届いていると思います。以前、マツダファンの方との交流イベントで、「ソウルレッドが気に入ったから、マツダに乗り換えました」というお客様がいらっしゃいました。とてもうれしかった反面、マツダの塗装に対する要求はすごく高まっていると感じました。期待に応えていかなければと、気持ちを引き締めました。

これからも、デザイナーの意図をカタチにし、クルマを見たすべてのお客様が感動するような素晴らしい色をつくり続けていきたいと思います。

山本

私は、お客様が望むありとあらゆる色をボディカラーとして再現できる、そんな塗装を追求していきたいですね。今の“匠塗”をさらに高めながら、先進的な技術も取り入れ、誰も見たことのない“色”と“艶”を生み出していく。そんな努力をこれからも積み重ねていきたいと思います。

仲山

そうやって生まれた美しいクルマを、美しいままお客様にお届けする。それが、ラッピングを通して私が目指していることです。さまざまな制約がある中で、新しい取り組みにチャレンジしながらそれを実現し、「マツダのクルマは本当にきれいだね」と、お客様に思っていただけたら最高ですね。

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30周年記念車にはレーシングオレンジの特別色のほか、シリアルナンバー入りのオーナメントも設定されています。
人の手によって丁寧に取り付けられる作業の様子をご覧ください。

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