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キャンプをもっと楽しくする5つのアイデアを、
キャンプが好きすぎて仕事にしてしまった愛好家が教えます

   

   

山口健壱(Kenichi Yamaguchi)

1989年、茨城県で生まれる。脱サラ後、約2年半かけて47都道府県のキャンプ場を巡るなど、キャンプ中心の生活に突入。現在はフリーランスとしてキャンプにまつわる記事や動画、グラフィックの制作など、幅広く活動中。

   

   

「たっぷりの時間」と
「非日常的な環境」という贅沢を、
あますことなく楽しもう

   

ー 山口さんがキャンプに魅せられたきっかけは何だったのでしょうか?

   

山口さん:まだ社会人になりたてのころ、ふと思い立って友人とキャンプへ出かけてみたのです。その時は道具なんか一切持っていなかったので、目的地へ行く途中で必要な道具を買い揃えるという雑な旅でしたが、キャンプ場で過ごした時間がとても印象的でした。

 

当時の僕といえば、休日は家でゴロゴロしているだけで、せっかくの休みなのに、なんだか物足りない感覚だったのですが、キャンプに行くと、同じようにゴロゴロしているだけなのに、不思議な充実感がありました。

 

キャンプ場で過ごす時間は自由そのものです。何かするのも、何もせずゴロゴロするのも自由ですけど、外にいて、自由な時間を持てるということが本当に贅沢で楽しく感じて、どんどんハマっていきました。

   

   

ー さまざまな経験を積んだ現在、山口さん流のキャンプの楽しみ方を教えてください。

   

山口さん:キャンプ場でただゆっくり過ごすだけでも楽しいですが、経験を重ねるうちに、その場所、その時間でしかできない楽しみってなんだろう、と積極的に考えるようになりました。キャンプには「たっぷりの時間」と「非日常的な環境」という、普段はない贅沢なリソースがあります。このリソースを活用して、料理でも遊びでも、思いつくままに取り組んでみると、キャンプがただの「寝泊まり」から「何かに取り組むための拠点」になって、キャンプ場で過ごす時間がより楽しくなっていきました。

   

ー 今日は、そうした山口さんの遊びのアイデアをいくつか教えてください!

   

山口さん:分かりました。いまお話ししたように、「時間」と「環境」を楽しむためのアイデアを、いくつか紹介していきますね!

   

「たっぷりの時間」を楽しむ3つのアイデア

焚き火なら、火付けからひと手間加えて楽しむ

   

山口さん:まずご紹介したいのは、焚き火です。着火剤やライターを使って火をおこすのも手軽で魅力的ですが、ここではあえて手間をかけて、種火から炎を育てていく過程を楽しんでいただきたいです。

   

ー なんだか難しそうですが……。

   

山口さん:ファイヤースターターという道具を使って種火をつくると、比較的簡単です。ファイヤースターターはマグネシウムの火打ち石のような道具で、鋼で摩擦したときに火花が発生します。この火花を使って火をおこしていきますが、いろいろなプロセスが必要で実に奥が深いです。

   

ー そのプロセス、ぜひ見せてください!

   

山口さん:では、簡単に説明していきますね。

   

   

1:まずは、薪を加工してフェザースティックをつくります。薪をナイフで薄く削り、羽毛(フェザー)のような毛羽立ちをつくります。この毛羽立ちがあることで、薪と空気が触れる部分が大きくなり、火がつきやすくなるという仕組みです。

 

2:2種類のフェザースティックをつくってみました。右は着火用に細かく毛羽立たせたもの。左は毛羽立ちが大きいですが、これは小さな火を大きな炎にする、焚き付けに使うためです。

   

   

3:今回はさらに火をおこしやすいよう、焚き火台に麻の火口(ほくち)や細かく削った薪の断片を置き、ファイヤースターターで火花を発生させます。

 

4:あっという間に小さな火がおき、種火が生まれます。ここに着火用のフェザースティックを投入し、続いて焚き付け用のフェザースティック、火が安定してきたら通常の薪を加えていき、火を大きくしていきます。

   

   

やがて力強い炎になり、焚き火ができあがります。

   

ー 種火から炎へと、まるで火を育てているようですね。

   

山口さん:ライターやマッチを使った方が簡単ですし効率的です。でも、あえて面倒な方法を選び、その行程を堪能します。また、フェザースティックを削っている際も、「薄く細く、上手にできた!」という達成感があったりします。それに、削っているとすごく集中しますから、余計なことを考えずに無心になれる心地良さもありますね。

   

ー 焚き火に必要なすべての時間を楽しむわけですね。

   

山口さん:そうです。あえて非効率的なやり方をすることで、まさに「たっぷりの時間」を楽しめます。

   

豆の焙煎からコーヒーを淹れる

   

ー 続いては……なんだか良い香りがしますね。

   

山口さん:コーヒー豆を生豆から焚き火で焙煎しているところです。焚き火があれば、その火を使っていろいろ楽しめます。コーヒーの焙煎は香りも楽しめますし、なんだか自分が玄人になったような気分も味わえます(笑)。それに、キャンプみたいな「何かしよう!」と思える日でもないかぎり、生のコーヒー豆なんてなかなか目にしませんよね。これも貴重な体験になると思います。

   

ー たしかに、生のコーヒー豆を初めて見たかもしれません。

   

   

山口さん:焙煎の作業そのものはシンプルですが、とても奥が深いです。豆の種類、焙煎の仕方の組み合わせには無限のようなバリエーションがあって、ちょっとしたことで仕上がりが大きく変わってきます。また、同じコンディションで安定して焙煎するのも簡単ではありません。豆の性質を考えながら焙煎の仕方を試行錯誤してみるのですが、その結果、狙った通りの味わいになることもあれば、ちょっと残念な味になることもあります(笑)。このブレも焚き火焙煎ならではの面白さですね。

   

   

左の生の豆を焙煎すると、右のように見慣れた姿に変化します。生の豆特有の青臭さが、焙煎とともに香ばしく変化していく様子も楽しいと山口さんは言います。

   

ー 美味しく焙煎するのは難しそうですが、これなら気軽にキャンプにとり入れられそうですね。

   

   

焙煎したてのコーヒーを注ぐのは、MAZDA COLLECTIONの「カラータンブラー」です。お気に入りのタンブラーを使えば、キャンプでいただくコーヒーがもっと美味しくなるかもしれませんよ!

 

山口さん:そうですね。納得いく味わいにたどり着くのは簡単ではないですし、そもそも、本当は焙煎した後、豆を熟成させる必要があります。味を追い求めるならお店で豆を買うことをおすすめしますが、「焙煎直後の味」を楽しむのは、手間暇かけられるキャンプならではの貴重な機会です。キャンプという非日常をもっと特別な時間にする意味でも、ぜひチャレンジしてほしいですね。

   

普段はつくらないような料理を、手間を惜しまずつくる

   

ー 続いては料理ですね。でも、料理はキャンプでは定番の時間の楽しみ方では?

   

山口さん:その通りですが、ここで提案したいのは、時間と手間を惜しまず料理する、ということです。普段、家で料理するときは、つい時間や手間を気にしてしまいがちです。しかし、たっぷり時間のあるキャンプなら、普段はつくらないような手間暇かけた料理を楽しむという選択肢があります。

   

ー 今日はどんなメニューを用意してくれているのですか?

   

山口さん:ダッチオーブンでつくる、鶏の丸焼きです。ダッチオーブンとは鉄製のフタ付き鍋で、フタの上に炭を置けるので、上下から加熱することができます。今日持ってきたのは、ステンレス製のダッチオーブンですが、美味しく焼き上がるのでお楽しみに!

   

ー 完成が待ちきれません!

   

山口さん:手間はかかりますが、調理自体はシンプルです。

   

   

1:まずはカットしたセロリなどの香味野菜をダッチオーブンの底に敷きます。

 

2:続いて、まる鶏のお腹にセロリやニンニクなどの香味野菜を詰めていきます。

   

   

3:まる鶏とお好みの野菜をダッチオーブンにどんどん入れ、オリーブオイルをひと回して、スパイスパウダーとローズマリーを加えます。今回はちょっと食材を入れすぎましたね(笑)。

 

4:フタをして、炭火の上に吊して、フタの上にも炭火を置きます。あとはじっくりじっくり、火加減にもよりますが1〜2時間、炭の番をしながらローストしていきます。頃合いになったら、テーブルに移して、待望のフタオープンです!

   

   

ー お肉がしっとり柔らかい!鶏のうま味が染みこんだ野菜も絶品ですね。

   

山口さん:ダッチオーブンはフタも重量があるので、圧力鍋のように食材の水分を逃がさず調理でき、うま味がぎゅっと凝縮されるんです。

 

こうして手間暇かけて、普段はあまり目にしない料理を家族や友人に振る舞えば、みんなが喜んでくれます。時間をかける意味があると思いませんか。

   

ー 焚き火、コーヒー豆の焙煎、料理と3つのアイデアを教えてもらいましたが、どれも大がかりな道具が要らないので、自分のキャンプにも採り入れやすそうですね。

   

山口さん:「たっぷりの時間」さえあれば、キャンプの楽しみ方は自由自在です。大きな道具が必要ない楽しみを選ぶのも、もちろん自由です。日常にはなかなかない自由さこそ、キャンプの醍醐味であり、贅沢さだと思います。必要なのは、ハンドルを握り、キャンプ場に行くことだけ。気になるアイデアが見つかったら、ぜひ次の週末キャンプに出かけてトライしてみてください!

   

   

「非日常的な環境」を楽しむ2つのアイデア

キャンプという旅ならではの食材を探す

   

ー ここからは「環境」を楽しむためのアイデアを教えてください。

   

山口さん:でしたら、食材に目を向けてみるのはいかがでしょうか。旅行に行くと、きっと多くの方が旅先の土地の食材を楽しむと思います。キャンプだって旅行なのだから、同じことが言えます。しかもキャンプならば、その土地の食材を自分で料理して食べる、という楽しみがあります。

 

食材といっても、大げさなものを手に入れる必要はありません。肉、魚介、野菜などなんでもよくて、地元のスーパーでその土地でよく食べられているものや、自宅近所では見られないような食材を買ってからキャンプ場に行くのも、旅先という「非日常的な環境」を楽しむことだと思います。

 

今回キャンプしている有野実苑オートキャンプ場では、野菜の収穫体験ができますが、こうして手に入れた食材も、立派な旅先ならではの食材です。

   

   

ー 鶏の丸焼きに添えられていたのは、この野菜だったのですか?

   

山口さん:そうです。手にした食材をすぐに料理して食べられるのは、本当にキャンプならではの贅沢だと思います。料理をしないのであれば、地元のスーパーで売っているお惣菜を買うのだってありです。そうした一品がテーブルに加われば、それだけでも、その土地という環境を楽しんだという手応えが感じられるはずです。

   

   

足で、自転車で、車であえて移動し、キャンプ場周辺の環境を楽しむ

   

山口さん:もうひとつの「環境」を楽しむためのアイデアはシンプルです。動き回って、キャンプ場、そしてその周辺の環境を楽しもう、というものです。

   

ー キャンプだと、ついテントの周りにいるだけで1日を終えてしまうようにも思います。

   

山口さん:もちろん、それだって立派な楽しみ方です。でも、キャンプに来たからといって、キャンプ場の中だけでアクティビティを完結させる必要はありません。せっかくキャンプ場という旅先にいるのだから、周囲の環境も楽しまないのはもったいないです。

 

動き回るための手段も自由です。ハイキングしてもいいですし、もしも折りたたみ自転車なんかを持っているならば、それを車に積んできて、周辺をサイクリングするのも楽しいです。

   

   

山口さん:キャンプ場を起点に、車で動いて周辺の環境を楽しむという手もあります。たとえば、今回のキャンプ場ならば、車で30〜40分ほど走れば海に出ます。海で魚を釣って、キャンプ場で調理して食べる、といった楽しみ方もできますよね。事前に下調べをしておけば、美味しいカフェや野菜の直売所も見つかるかもしれません。周辺を探索することも、キャンプではアクティビティのひとつだと思います。

   

   

時間と環境が与えてくれる、余白を楽しもう

   

ー 山口さんが教えてくれたアイデア、どれも魅力的で、ぜひ実践したくなりました!

   

山口さん:繰り返しになりますが、キャンプの大きな魅力は自由さです。キャンプする上でのマナーはありますが、「こうしなきゃいけない」みたいなルールはありません。昔の僕みたいに、キャンプ場でゴロゴロしているだけだっていい。

 

でも、せっかく時間と環境に恵まれたキャンプという贅沢な状況にいるのだから、それらを生かして、自分流のキャンプの楽しみ方を追求してみてほしいです。そうしたら、キャンプをしている時間がもっとハッピーになると思いますよ!

   

ー 車という存在は、そういった「贅沢な状況」にキャンプ愛好家を導く存在といえそうですね。

   

山口さん:車はキャンプ場にたどり着くための手段であり、ギアを運んでくれる相棒であり、キャンプ場での行動に選択肢を与えてくれる頼もしい存在です。今からMAZDA CX-60に試乗させてもらいますが、キャンプの相棒としてどんなポテンシャルを秘めているのか楽しみですね!

 

(2024年7月 取材撮影)

山口さんがキャンパー目線で車選びのポイントとCX-60の実力をチェックする

   

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