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犬の車の乗せ方を専門家が解説!
愛犬を車好きにする方法や乗車位置など

   

「愛犬と車でお出かけしたい」と考えている人は多いはず。
でも、愛犬と安全にドライブを楽しむために何が必要なのか、どんな点に気を付ければ良いのか、慣れないうちは分からないことも多いですよね。実は、犬のサイズに合わせた乗せ方や、ドライブ中の体調への配慮、また、乗せ方によって道路交通法違反になってしまう可能性があるなど、気にすべきポイントはたくさんあります。
今回は、「愛犬をほぼ毎日車に乗せている」というドッグトレーナーの戸田美由紀さんに、犬を車に乗せるうえで知っておきたい基本を聞きました。戸田さんの考える「愛犬とのドライブスケジュールのプラン」も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

   

戸田美由紀(Miyuki Toda)

家庭犬しつけ専門ドッグトレーナー

訓練士養成学校卒業後、動物病院勤務を経て独立。埼玉県ほか近隣都県へ出張し、家庭犬の個別レッスンを実施する。その他、動物愛護センターや各種イベントでのしつけ教室の講師、雑誌・書籍の監修指導など幅広く活動中。日本動物病院福祉協会認定家庭犬しつけインストラクター、ジャパンケンネルクラブ公認訓練士、日本警察犬協会公認訓練士など多数の資格を保有。車の運転が好きで、普通自動車第二種運転免許も取得済み。愛犬の雲吞(わんたん)ちゃん(メス・5歳)とともに日々ドライブを楽しんでいる。

   

   

クレートに入れ、後部座席に固定が基本!
出発前に知っておきたい
愛犬とドライブするためのポイント

メリットいっぱいのクレートを活用しよう

   

ー まずは、犬を車に乗せるうえでの基本を教えてください。

   

戸田さん:まず気をつけておきたいのが、車内の暑さ対策です。犬は暑さに弱い生き物なので、特に夏場は注意が必要です。愛犬を車に乗せる前に車の中の空気を入れ換えておく、エアコンをかけておくなどして、車内の温度を調整しておくことを忘れないようにしてください。

 

そして、具体的な乗せ方ですが、犬の大きさや、犬が車に乗り慣れているかどうかといった状況でも変わりますが、基本的には「クレート」と呼ばれる箱型のハウスに入れて後部座席などに固定するのがおすすめです。日頃からクレートを愛犬の家として活用し、「クレート=大好きな場所」にさせておくと良いですね。

   

ー なぜ後部座席に固定するのがいいのでしょうか?

   

戸田さん:第一に、助手席側に動き回れる状態で座らせていると、犬が運転の邪魔をしてしまう可能性があり、大変危険です。車のサイズやクレートのサイズによって乗せられる場所は変わりますが、小型犬の場合、できれば後部座席の足元に置くのが一番安全です。以下のイラストのようなイメージです。

   

   

ー 足元に置くのは、なんだかかわいそうな気がしてしまいますが……。

   

戸田さん:その気持ち、よく分かります…。しかし、愛犬の安全を守るうえで利点がある乗せ方なのです。まず、足元に置くことで、クレートを前後のシートで挟めるのでしっかり固定できます。万が一の事故の際、衝撃でクレートが激しく動いてしまったり、愛犬がクレートから飛び出してしまったりといった被害を防ぐ効果が期待できます。

 

また、足元に置くことで窓から差し込む日光が当たりにくく、暑さ対策にもなりますし、車外の様子に気を取られて興奮してしまうことも防げます。後部座席の足元は愛犬にとって、安全かつメリットがある場所だと捉えてほしいです。

   

ー では、後部座席の足元に入らない、中型〜大型犬の場合はどのようにすればいいでしょうか?

   

戸田さん:その場合は後部座席にクレートを置き、紐状のものでヘッドレストなどに固定するといいですね。今は車に乗せることが考慮されたクレートも多く販売されています。設置の際は、後部座席座面とクレートの間にタオルなどを敷いて角度を調整し、クレートをできるだけフラットに置くとより安定します。

   

   

さらに大型犬の場合、車両後端のラゲッジスペースに乗せることになると思いますが、ラゲッジスペースまできちんと空調が効くかどうかを、あらかじめチェックしておいてください。また、事故防止のためにも、車のハッチを開けたときに犬が飛び出してこないようにしましょう。もし興奮しているようだったら、少し落ち着いてからハッチを開けるようにし、日頃から「待て」を覚えさせておくなどの工夫が必要です。

   

ー 愛犬を車に乗せるためのアイテムはいろいろありますが、特にクレートをおすすめする理由はどういった点でしょうか。

   

戸田さん:安全性が高いだけでなく、暗くて狭い場所を好む犬にとって、クレートの中は安心できる場所だということも、理由のひとつです。また、乗車中に粗相してしまってもクレートを掃除するだけで済み、車内が汚れにくいのもメリットですね。

 

さらに、車移動の際のしつけにも有効です。飼い主と離れると、構ってほしくて興奮し、動き回ってしまう犬もいますが、クレートに入っているとそれはできません。普段からクレートで大人しくできるようなら、そのまま車に乗る経験を重ねることで「クレートに入って車に乗っている間は大人しくしていないといけない」と学習できます。

   

ー 車に乗せるためのアイテムとしては、おすすめされているクレートの他に、シートにかぶせるシーツのような「ドライブシート」やベッドのような「ドライブボックス」、シートベルト金具やヘッドレストなどにつなぐ「犬用シートベルト」が代表的です。それぞれ、どのように使い分けると良いでしょうか?

   

   

戸田さん:ドライブシートや犬用シートベルトは適切なサイズのクレートが少ない大型犬におすすめです。ドライブボックスは布製のものが多く、自宅で過ごす時のようにリラックスした環境を作ってあげられるのがメリットですね。

 

これらアイテムは「犬が車に乗り慣れているかどうか」「大人しくしていられるかどうか」で選ぶと良いですね。今挙がったアイテムは、クレートと違い犬がある程度動けます。ですから、「車に乗ったら静かに大人しくしている」というしつけができていることが前提になります。

 

愛犬が上手に車に乗れるようになったら、クレート以外のアイテムを使ってみるなど、徐々にステップを踏んでいくと良いですね。

   

車を好きになってもらうには?
ドライブ前にどんな準備が必要?

ー 犬が車に乗るのを嫌がらないようにするには、どんな方法がありますか?

   

戸田さん:まずは「車に乗ると良いことがある」と認識させることがポイントです。犬を車に乗せて向かう場所というと、動物病院が多いと思いますが、多くの犬にとってはあまりうれしくない場所です。こうした場所ばかりに行くのではなく、近所でも良いので、ドッグランや広い公園など、犬が「楽しいと思えるところ」に車で連れて行ってみましょう。こうした経験を重ねることで、「車に乗ると楽しい場所に連れていってもらえる」と認識し、徐々に車に乗るのが好きになってくれます。また、短い時間であっても車移動を繰り返すことで、愛犬が車に慣れるための練習にもなります。

   

ー では、車に乗っている間、愛犬が大人しくしているようにするには、どんな方法があるのでしょうか?

   

戸田さん:それには、車に乗っている間だけでなく、日頃の飼い主との関係性が影響します。大事な愛犬が吠えたり落ち着きなく動き回っていたりすると、つい気になって構ってしまいがちです。しかし、こうしたアクションに飼い主が毎回反応していると、愛犬は日常的に構ってほしくてアクションを起こすようになります。それは、ドライブ中も同じです。車の中でも構ってほしくて吠えたり動き回ってしまっては、安全運転の妨げになってしまいます。こうした関係にならないよう、日頃から適度な距離感で接するのが大事です。

 

運転中に関しては、安全な運転に集中するためにも、愛犬の「構ってほしい」というアクションにあえて応えず、毅然とした態度で接する必要があります。大人しくしていられたときにも、ちょっと褒めてあげれば十分です。こうした対応を続けていくことで徐々に「車に乗っている間は大人しくしていた方が良い」と犬に伝わり、上手に車に乗れるようになります。

   

ー 愛犬を車に乗せてお出かけする前に、どんな準備をしておくと良いでしょうか?

   

戸田さん:まず、車に乗せる前に排泄を済ませておきましょう。出発前に散歩させておくと適度に疲れて、乗車中は寝てくれることもあります。また、犬の体質にもよりますが、出発直前にごはんを食べると酔いやすくなる可能性があるので、食事の時間を少し早めにする、量を減らしておくなど、様子を見て調節すると良いですね。

   

「車内で自由に動ける」は絶対NG。
暑さ対策も重要!犬を車に乗せるうえでの注意点

ー ここからは、ドライブ中のポイントに関して教えてください!愛犬を車に乗せるうえでの注意点はありますか?

   

戸田さん:まず、絶対に忘れてはならないのは、愛犬が車の中で自由に動き回れる状態にしないことです。安全運転の妨げになってしまう可能性がありますので、リードをヘッドレストに繋ぐなどの方法で、必ず犬を固定しましょう。なお、リードを首輪に繋ぐと、急ブレーキの際など、首に大きな負担がかかってしまうリスクがありますので、ハーネス(胴輪)に繋ぐようにしてください。

 

ドアロックは必ずかけ、窓を開ける場合は鼻先も出ない程度に止めます。時々、車窓から犬が顔や身体を出しているのを見かけますよね。一見するとかわいい姿ですが、これは絶対にやってはいけません。他の車やバイクなどとぶつかってしまうと一大事ですし、飛び出しのリスクもあります。

 

そしてもうひとつ、繰り返しになりますが、車内の暑さ対策を忘れないようにしてください。ドライブ出発前に車の中の空気を入れ換えておく、エアコンをかけておくなどして、車内の温度を調整しておくことを忘れないようにしてください。

   

ー 他にはどんな注意点がありますか?

   

戸田さん:車に乗り慣れていない犬は、速く流れる車窓の景色に興奮したり、車内に入ってくる他の犬の匂いに反応して吠えたりすることもあります。ですから、慣れるまでは後部座席のみ、窓にカーテンやタオルをかけるなどして目隠ししておくと、安心して過ごせると思います。

 

匂いの面では、車内の芳香剤も犬にとっては香りが強すぎる場合があります。人間の感覚では気にならなくても、犬には負担になっていることも多いので、気をつけましょう。

 

また、愛犬を車内で自由に動けるようにせず、孤立させないことも大切です。例えば、何らかの要因でドアや窓が開いて飛び出してしまったり、愛犬がうっかり触って冷房を暖房にしてしまったりといったリスクも考えられます。車内で留守番をする際も大人が一緒に付き、愛犬を見ておくようにすると安心です。

   

愛犬のその乗せ方、道路交通法違反かも!?

   

愛犬を車に乗せる際、手軽だからと膝の上に乗せて運転してしまいそうになりますが、戸田さんが強調するように、愛犬が自由に動き回れる状態で車に乗せることは、安全面で避けなければなりません。そして、こうした乗せ方は、実は以下の「道路交通法 第55条第2項」「道路交通法 第70条」に抵触する可能性があります。

 

第五十五条第二項:車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
引用:e-GOV法令検索 道路交通法(乗車又は積載の方法)

 

第七十条:車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
引用:e-GOV法令検索 道路交通法(安全運転の義務)

 

こうした法令に違反しないためにも、また、安全運転を徹底し、愛犬の身を守るためにも、適切な車の乗せ方をしっかりと理解してドライブに出かけましょう!

   

休憩のタイミングは?車酔いしてしまったら?
ドライブ中に気をつけたいこと

車酔いして吐いてしまっても、過剰に反応しないのがポイント

ー ドライブ中に気になるのは、愛犬が乗り物酔いしてしまった場合です。どのように対応すれば良いでしょうか?

   

戸田さん:乗り物酔いになってしまうと、犬は水のようなさらさらしたよだれを出し、その後、吐いてしまうことが多いです。吐いてしまうと、心配になってすぐに車から降ろし、きれいにしてあげたくなりますが、今後も車に乗せることを考えると、ここは飼い主、愛犬ともに我慢のしどころです。なぜなら、乗り物酔いしてしまったからと慌てて外に出すなど、飼い主が過剰に反応すると、犬は「吐けば構ってもらえる、車の外に出られる」と学習してしまい、その後、より吐きやすくなる可能性があるからです。そうなってしまうと、その後、車でのお出かけが難しくなってしまいます。ですから、乗り物酔いしてしまっても過度に慌てず対応できると良いでしょう。

 

クレートには使い古しのタオルなど、吐瀉物を吸収できるものを入れておくようにしましょう。タオルなどは愛犬が誤って飲み込まないように気をつけるのをお忘れなく!

   

ちょっと車を停めて、ひと休み。
暑さ対策など、休憩時のポイントは?

ー ドライブの休憩をはさむタイミングはどのように考えれば良いでしょうか?

   

戸田さん:ドライバーが休むタイミングと同じように、1〜2時間ごとに休憩をはさむと良い でしょう。休憩の際は水を飲ませたり、周囲を軽く散歩したり、排泄させたりすると、良い気分転換になります。

 

今は犬と一緒に入れる場所も増えてきていますから、散歩させやすいサービスエリアやパーキングエリア、道の駅などを事前に調べておくと余裕を持ってドライブできます。泊まりがけのお出かけの場合は、目的地付近の動物病院を把握しておくとさらに安心です。

   

ー では、停車中に気をつけるべき点はありますか?

   

戸田さん:ここでも気をつけたいのは、車内の暑さ対策です。車はできれば日陰に停める、太陽の方にフロントガラスを向けない、ウインドシェードを付けておくなど、車内の温度をできるだけ上げないよう対応できると良いですね。

 

また、休憩時に限らず冷却グッズを用意しておきましょう。特に夏場は凍らせた水入りペットボトルやタオルなどを準備し、クーラーボックスに入れておくと、遊んだ後のクールダウンや、熱中症対策にも使えます。もちろん、犬だけでなく飼い主の暑さ対策にも役立ちますので、ドライブ前に準備しておくと便利ですよ。

   

ドッグトレーナー考案!
愛犬とのドライブスケジュール

   

ー 出発前、出発後、さまざまな注意点があるのが分りました。最後に、注意点を踏まえたうえで、どんなスケジュールでドライブを組み立てればいいか教えてください!

   

戸田さん:ひとつの例ですが、今回は春~初夏、秋など気温が高すぎない時期に「生後7〜8カ月の小型犬と初めて大きな公園にドライブする」という前提で考えてみました。

 

7:00
・ 乗り物酔いしにくいように、いつもより少し早めに、少な目のごはんをあげる。
・ 必要なアイテムを車にセットし、出発直前に慌てないようにしておく。
・ クレートの中で犬が飽きないよう、気晴らしグッズとして、噛みきれない丈夫な犬用のおもちゃを準備する。

 

9:00
・ 車に乗る前に散歩と排泄をしておく。水分摂取も忘れないように。

 

9:45
・ 暑い日であれば車内にエアコンをかけ、適度な温度になるよう調整する。
・ トイレの号令を覚えている子の場合は最後の排泄をうながし、そばにあると落ち着くアイテムがある場合は、一緒にクレートに入れる。
・ 大人しくできた時に褒めてあげられるよう、大人がクレートの近くに座る。

 

10:00
・ いざ出発。犬が多少騒いでも飼い主はあえて反応しない。
・ 落ち着いてくつろいでいたり、遊んでいるようなら、優しく声をかけてほめる。
・ クレートから外が見える場合、通行人などに反応しないでいた時もほめるようにする。

 

11:00~11:30
・ 初めてのドライブなので、休憩を入れる。
・ 休憩する場合は水分摂取、軽い散歩、排泄などを済ませる。
・ 飼い主の休憩の際も、大人一人は必ず犬のそばにいるようにし、安全を確保する。

 

13:00
・ 目的地に到着。興奮して飛び出さないように、落ち着いたタイミングを見計らってクレートから出す。広い環境で思い切り遊ばせる。
・ 帰る前に水分摂取、排泄などを済ませ、帰路につく。
・ 帰路も犬の様子を見ながら、適宜休憩をはさむ。

 

初めてのドライブなので、あまり長時間車に乗らなくても楽しめるスケジュールを考えてみました。予定ルート上で犬を休憩させられる場所をいくつかあたりをつけておくと、スムーズにドライブできますよ。

   

ー 愛犬が車に上手に乗れるようになれば、行動範囲も広がっていきますね!

   

戸田さん:最初は気を付ける点が多く、飼い主の方にとっては大変なことが多いかもしれません。ですが、犬も車に慣れていくものです。まずは近場のドライブから始めて、徐々に遠くまでお出かけできるようステップアップしていきましょう。愛犬とのカーライフをぜひ楽しんでくださいね!

   

ーマツダスタッフよりー
私たちも愛犬を車に乗せることがあり、戸田さんのアドバイスはとても参考になりました。
マツダはクルマを通じて皆様の生活を豊かにしたいという想いを持っていますが、「生活」という言葉には、皆様の「愛するペットとの生活」という意味ももちろん含まれています。
ぜひ、この記事を参考に、大事なペットとのカーライフを楽しんでいただけるとうれしいです!

 

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