第5章 組立工程

匠の指先に伝わる感覚で最後の品質を支える

8C型ロータリーエンジンの各部品はロータリーエンジン組立工場に集約されます。そこには、「RE匠工房」と呼ばれるロータリーエンジン内部を組み立てる専用の仕切られた部屋があり、社内にわずか3人しかいない厳格な社内基準をクリアした匠の手で、ローターに各種シール類やスプリングなどの部品が一つ一つ丁寧に組み上げられています。8C型ロータリーエンジンの生産立ち上げでは、従来目視で確認していた工程に最新の画像処理技術によって作業精度を向上する技術を導入していますが、シール類のはまり具合やスプリングの反力などを確認しながらローターを組み上げる工程は、匠による繊細な手作業が不可欠です。素材、機械加工、めっきと一貫して精度を追求してきた部品を、1つのロータリーエンジンに仕上げるその最後の品質を、匠の指先に伝わる感覚が支えているのです。こうした手作業について、熟練した年配の職人が担う作業のように思えるかもしれせんが、ここでは多くの若手社員が組み立てに従事しています。この工場の一角に「エンジン組立技能育成場」と呼ばれる部屋があります。そこでは、ロータリーエンジンをこれからも作り続け、その技を未来に受け継いでいくための技能伝承が日々行われているのです。こうして組み上がったロータリーエンジン本体に、途中の品質ゲートごとに機能確認を行いながら補器類を組付けエンジン全体を完成させ、燃焼室の圧力、異音・振動を含むエンジンの全機能を確認するモータリングテストを行います。そして、最後に着火テストにより、実際にエンジンを燃焼させた状態での検査を実施し、文字通りエンジンに火を入れます。こうして、1台の8C型ロータリーエンジンが生まれるのです。

手組みによりガスシール類を組み付けている

手組みによりガスシール類を組み付けている

ロータリーエンジンの組立に携わるメンバー

ロータリーエンジンの組立に携わるメンバー

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