「マツダつくりたいラジオ」第3回・第4回の話し手は、2026年5月に発売を開始した新型CX-5の開発主査、山口浩一郎です。マツダへの入社秘話から、愛車遍歴、2台の愛車(FCカブリオレ・RX-8)、新型CX-5の開発に込めた想いについて語ります。
「マツダつくりたいラジオ」第3回・第4回の話し手は、2026年5月に発売を開始した新型CX-5の開発主査、山口浩一郎です。マツダへの入社秘話から、愛車遍歴、2台の愛車(FCカブリオレ・RX-8)、新型CX-5の開発に込めた想いについて語ります。
山口が学生時代に私用していた愛車はRX-7(FC型)。787Bのルマン優勝を機にマツダ入社を決めたそうです。そんな縁があってか、RX-8のボンネット設計を担当することに。低重心でスポーティなスタイルと衝突時の歩行者保護の両立が山口に課せられた使命でした。
ここに山口のこだわりと発想が。
尊敬していた航空エンジニア ケリー・ジョンソン設計の「ショックコーン」に着目。超音速機の吸気口に装備された円錐形状のもので、飛行時にエンジンへ送り込む空気の衝撃を緩和する役割がありました。航空機はエンジンに入る空気、車は衝突時に人に与える衝撃を緩和する。対象は違えど、守るべきものを守るということは同じと考えました。
ボンネット内板に円錐形状のくぼみを一様に配置。内板全体がたわんで衝撃を吸収する仕組みとしました。名付けて「ショックコーンアルミボンネット」。
山口のガレージには、この自分で手掛けたRX-8と一度手放して今度はカブリオレのRX-7(FC型)が。そして今回主査をつとめた新型CX-5が加わったそうです。ガレージにまでこだわりが詰まっています。
続いて主査を務めている新型CX-5のこだわりを語り始めます。
「開発の過程では、理想を追求するがゆえの激しい衝突もありました。『美しさ(エモーショナル)』を求めるデザイナーと、『居住性(デイリーコンフォート)』を求めるパッケージ担当。一時は現場が険悪な雰囲気になるほど議論が紛糾しました」
その結果、全幅を15mm、全長を115mm拡大。特筆すべきは、その延長分のすべてを後席と荷室に充てたことです。「理想のドライビングポジション」は変えず、後ろだけを伸ばすことで、ベビーカーを縦に積める利便性と、リアシートを倒せば大人が快適に車中泊できる奥行き185cmの室内空間を両立させました。妥協ではなく、最新技術による「統合」こそがCX-5の本質なのです。
話は、更に細かいながら大事なポイントに進んでいきます。
まずお客さまとクルマの関係で最初のタッチポイントであるはドアの話。ドアを閉める音に、なんと和太鼓の考えをとりいれているそう。和太鼓は、固い胴とピンと張られた皮の組み合わせによって、力強くも澄んだ響きを生みます。
これをドアに応用。ドアの硬くする場所を「胴」に見立て、パネルが「皮」のように美しく響くようチューニングを施しました。
音が消えるまでの「余韻」までこだわり、補強材の位置をミリ単位で調整。さらに、構造的に音が変わりがちな前後ドアの音質を統一させるという、執念に近い造り込みを行いました。
そしてドア開閉に関するこだわりがもうひとつ。
静粛性のために気密性を上げると車内の空気圧が逃げ場を失い、ドアが閉まりにくくなるというジレンマが生じます。新型CX-5の開発チームは、ここで驚くべき手段を考えました。ドアを閉める瞬間だけ、エアコンの外気導入ラインを一時的に開放して空気を逃がし、閉まった後は自動で元のポジションへ戻す制御を取り入れたのです。
開閉音、静粛性、スムーズな開閉どこも妥協しないマツダらしい拘りです。
続いてもう一つ、細かいけれども大事なポイント、エンジンサウンドです。
新型CX-5では、スピーカーを使ってエンジン音に「倍音」を重ねるという繊細な調律が行われています。エンジン音とスピーカー音を主旋律とコーラスのような関係に。主旋律に対して特定の周波数(倍音)が混ざることで、その音が「心地よい」と感じるそう。アクセルを踏み込んだ瞬間から、変遷する回転数に合わせてリアルタイムで計算された4倍音をスピーカーから流しています。
他にもインテリアや走り、乗り心地など話はつきません。そしてそのすべてのこだわりが「お客様への提供価値」に帰結。山口の実体験「クルマをきいかけにオーナーの行動が変わる」を拡大したい想いがにじみ出ています。
詳細はポッドキャストでぜひご確認ください。