マツダでは、これまで製造した車両、マツダ社内外の有志の方々から寄贈いただいた車両を「ヘリテージ車両」として長きにわたって蓄積・保管してきました。
先人たちの知恵や技術、想いが細部にまで宿った歴代のクルマに実際に触れていただき、過去から未来に語り継ぐべきマツダのDNAを伝えたい。
そのような想いから、マツダミュージアムやマツダブランドスペース大阪での展示・発信に向けたヘリテージ車両の整備を2022年より開始しました。
クルマ・商品
マツダでは、これまで製造した車両、マツダ社内外の有志の方々から寄贈いただいた車両を「ヘリテージ車両」として長きにわたって蓄積・保管してきました。
先人たちの知恵や技術、想いが細部にまで宿った歴代のクルマに実際に触れていただき、過去から未来に語り継ぐべきマツダのDNAを伝えたい。
そのような想いから、マツダミュージアムやマツダブランドスペース大阪での展示・発信に向けたヘリテージ車両の整備を2022年より開始しました。
今回レストア対象となったヘリテージ車両は、1992年の発売開始から30周年を迎えた「AUTOZAM(オートザム) AZ-1」※。
AUTOZAM AZ-1
・二人乗り軽乗用車
・全高 1,150㎜
・重量 720kg
・エンジン 660㏄ 直列3気筒DOHCターボエンジン
AZ-1は、「世界最小のスーパーカー」とも呼ばれた二人乗り軽乗用車です。
ドアを開けると地面に手が届くほどのシートポジションの低さ、上方に開くガルウィングドアやプラスチック製のボディ外板など、遊び心に満ちた外観。中身もそれに劣らず個性的で、パワフルな3気筒ターボエンジンをドライバーのすぐ後ろに配置するミッドシップレイアウトを採用し、前後重量配分の最適化によって、レーシングカートのようなダイレクトでシャープな運動性能を実現しました。バブル崩壊後の厳しい市場環境下で4,409台が生産され、販売期間は約3年で終了してしまいましたが、今でもファンの皆様に根強く愛され続ける一台です。
今回レストアするAZ-1は、実はとても珍しい、世界に一台のAZ-1なのです。
市販車には装備されていないエアバッグやリアスポイラーが装備されており、本来であればマイナーチェンジモデルとして発売される予定でした。しかし、その発売を待たずにAZ-1の生産が終了してしまったため、AZ-1ファンの皆様からは“幻のAZ-1”として知られてきた一台なのです。
市販車には装備されていないリアスポイラーが装備されているAZ-1
AZ-1のレストア目標としては、
①当時の新車に限りなく近いスペック及び各性能が再現できていること
②「走る」、「曲がる」、「止まる」の機能を十分に発揮できる状態にすること
これら2点を目標に掲げ、作業を開始しました。
実際の整備作業においては、外装や内装はもちろんのこと、エンジン本体、燃料タンクなどの燃料系、冷却系(パイプ・ホース類)、ブレーキ関係、空調まで、各部位をくまなくチェックします。
レストア前のエンジンの写真。ここから段階的に動態保存(=動作可能な状態)まで整備します。
クルマの外装の傷の修復や、エンジンルーム内の錆落しなどを、研磨剤を用いて手作業で磨きます。
当時の部品を最大限に活用するため、機械を使わず、人の手で丁寧に作業していきます。
手作業で錆を落とす様子。部品だけでなく、エンジンの周辺部の錆も落とします。
20年近くにわたって使用されていなかったクルマであるため、様々な部品が腐食したり、錆びたりしていました。こちらのAZ-1では、交換が必要な部品の数が200点以上にものぼりました。腐食し過ぎている部品については、新たに調達して取り替えが必要になることもあれば、部品製造会社へ委託して作ってもらうこともあります。
生産終了から30年が経過し、入手可能な部品の数も限られているため、補修・製作には部品販売店や部品製造会社など関係者の協力が不可欠です。
マツダ社内だけではなく、関係者も巻き込んでのAZ-1レストア作業。完成までにかかる期間は、6か月以上にものぼります。それでも、レストアを担当するメンバーたちは「先代たちの技術を絶やすまい」という想いを胸に、30年の時を越え、幻の一台が現実のクルマとして乗れるようになるまで、全力を注いで仕上げていきます。
AZ-1発売から30年目を迎えた2022年10月、“100年乗り続けよう”という呼びかけを通じて、AZ-1オーナー・ファン161名にマツダ本社へお集まりいただき、ファンミーティングを行いました。
当日は、全国津々浦々からご参加いただいた皆様による、愛車を前にした交流の輪が広がっていました。
このファンミーティングのなかで、レストアの経過報告を行いました。オーナー・ファンの皆様は、担当メンバーからの説明を熱心に聞き入っておられました。
また、マツダ直営のショールーム「マツダブランドスペース大阪(大阪府大阪市 梅田スカイビル1階)」でも展示を行うなど、AZ-1について、マツダのレストアについて知っていただく機会をつくっております。
マツダブランドスペース大阪で展示されたAZ-1
マツダブランドスペース大阪で展示されたAZ-1 ※2023年1月現在は展示を終了しております
マツダブランドスペース大阪での展示を終えたAZ-1。現在は、エンジンを含めた走行性能の再生に取り組んでおり、2023年の夏ごろには車両の本来の魅力を取り戻せるよう作業を進めています。また今後も、マツダは他のヘリテージ車両のレストアにも取り組み、リニューアルされたマツダミュージアムで展示や各種イベントを通じて、引き続きクルマの持つ魅力を発信していきます。ぜひ、マツダミュージアムへ足を運んでいただき、これからもマツダのレストア取り組みを見守っていただけると嬉しいです。