マツダつくりたいラジオ|Podcast

走りたい。を、つくりたい。

第1回・第2回記事 取締役経営役員CTO 梅下隆一

2026年6月から始まった「マツダつくりたいラジオ」。テーマごとに専門領域の開発者が登場し、普段なかなか耳にしないクルマづくりの裏側と開発者の「つくりたい」という想いを、開発者が自ら語る、ちょっとディープなトーク番組です。
第1回・第2回の話し手は、取締役経営役員CTOの梅下隆一。子どもの頃からクルマに惹かれ、開発の道へ進んだ梅下。ドア開発、ロードスターとの出会い、レストア事業に込めた想いまで、マツダの車づくりの原点に触れていきます。

1.原体験とマツダへの入社

梅下は子どもの頃、食卓の椅子を並べて車に見立てて遊ぶほど車が好きでした。マツダ(当時の東洋工業)のエンジニアとして勤めていた祖父宅にあった50年史「明日をひらく東洋工業」掲載のクルマ達を「かっこいい」と感じたことが、振り返れば入社するきっかけだったとか。
*画像は、思い出の50年史を持ち込んで話す梅下。

1988年に入社後、ドアの設計を担当。ドアは鉄、ガラス、樹脂、ゴムなど多様な材料を扱い、衝突安全性と開閉の利便性という、相反する要件を満たす必要がある非常に奥深い分野。この経験が大きな学びになったと振り返ります。特に「ユーノス500」のドア設計に強い思い入れがあるそう。

梅下がドア設計を担当したユーノス500

2.ロードスターがもたらした人生の変化とレストア事業

梅下は入社してしばらくスポーツカーとは縁がなく、趣味と言えば広島の歓楽街「流川」で飲み歩くことでした。ところが、ロードスターオーナーになってオープンエアドライブを体験すると人生観が一変。四季のうつろいや自然の音を意識するようになり、カメラ、ゴルフ、釣り、茶道、レースなど多くの趣味をもつきっかけとなったとか。クルマは人生を変えるパートナーになり得ることを自ら体感しました。

ROADSTER(グレード:PS、ボディカラー:ジンクグリーンメタリック)

そしてその体験とお客さまの声からレストア事業の立ち上げにつながります。初代ロードスターのオーナーから「いつまでも乗り続けたい」という声が多く寄せられる一方、補修部品の供給が難しくなっていました。この課題を解決するため、有志メンバーと共に部品の再供給や、工場出荷時の状態に車を復元するレストアプロジェクトを立ち上げたのです。
*レストアプロジェクト発足時の写真

話はポッドキャストを始めた背景に進んでいきます。

3.ポッドキャストを始めた理由

このポッドキャストを始めたのはマツダが大切にする「走る歓び」という価値観と、ものづくりへのこだわりを、お客さまに少しずつでも近い距離でお伝えしたいという思いから。
「毎年開催している「マツダファンフェスタ」では作り手が直接お客さまとコミュニケーションをとるのですが、お客さまに喜んでいただけるのはもちろん、社員のモチベーションに繋がっています」
このようなコミュニケーションの機会をもっと増やしていきたい、ということから始めました。

マツダファンフェスタより

「バーチャル体験が増える現代だからこそ、自分の意思で行先を決めて車を操り、リアルな世界で実体験する価値が高まっているのではないかと感じることがあります。『走る歓び』を通じて、『生きる歓び』『人生の豊かさ』のようなものへ。クルマが単なる移動手段ではなく、人生を共にする『相棒』のような存在へと、お客さまと一緒に作れたらな、と考えています」

どのようなことをお客さまと共有していきたいのか。マツダのこだわりについて、その一端を紹介していきます。

4.デザインのこだわり

マツダのデザインは機械に生命感を宿すため、最初に「御神体」や「ビジョンモデル」でイメージを固めるという、他社とは異なるプロセスを大切にしています。

また、デジタル時代の今でも、職人の手による造形にこだわっています。クレイ粘土の消費量は世界トップレベルだとか。

マツダのクレイモデラー

マツダデザインを象徴するカラー「ソウルレッド」も開発当初のこだわりストーリーが。なんとデザイナーが最初に提案したのは13層塗りのサンプルだったそうです。
カラーは層が増えれば増えるほど、深みと艶感が増しますが、13層塗装はマツダの製造ラインでは実現できません。承知の上で「理想の赤」として13層を提案したわけです。
これをあきらめないのがマツダのエンジニア。各層の機能を分析して、量産できる3層構造で同様の表現することを、デザイナーとエンジニアの協業により実現しました。

ソウルレッドを初採用したマツダアテンザ

5.人間中心の開発へのこだわり

マツダの走りを象徴する「人馬一体」の考え方はロードスターから始まりました。「感性工学」をロードスター開発から取り入れ、スペック中心から、人がどう感じるかを重視する発想に転換。ドライビングポジションやダイアゴナルロールなど、人間中心の車両開発は現在、マツダの開発する全車種に反映されています。

「自然で気づかれにくい設計要素はお客さまにお伝えするのはなかなか難しいのですが、運転者・同乗者の快適性と安心感を高め、とても大切。あらゆる領域で採用しています。このポッドキャストで少しずつ拘りをお伝えしていこうと考えています」
*ドア閉め音の感性品質向上の研究イメージ

「マツダには、理屈を超えたこだわりを持つ『奇人・変人』とも呼べるエンジニアや職人が多くいるのです(笑)。彼らの情熱がマツダのクルマを作っているといっても過言ではありません。少しずつ、ポッドキャストを通じて紹介していきたいですね」

今後のポッドキャストにご期待ください。