地産地消という贅沢。
翌日の天気は雨と霧。悪天候にも関わらず、アンケは湖でひと泳ぎすると言うので、私も湖畔でジョギングすることに。ここからは旅の終点、クイーンズタウンに向かう最後のドライブだ。
クラウン・レンジ・ロードのワインディングを走りながら、昨夜降ったばかりの軽い雪に二人で大騒ぎし、クイーンズタウンに近いリマーカブルス山脈の雪景色に感動した。
クイーンズタウンではシャーウッドというホテルにチェックイン、ランチに備えて一休みする。なぜなら、今日のランチは2020年リーデル有機ワイナリー・オブ・ザ・イヤーに輝いたアミスフィールドのワインと楽しむ、7品のシェフお薦めランチコースなのだから。
我々を迎え入れてくれたのは、2019年ニュージーランド・シェフ・オブ・ザ・イヤーに輝いた料理長、ヴォーン・マビー。
マビー自ら庭園が見えるガラス張りの建物にある席に案内してくれ、プロフェッショナルなウェイター達が次々と運んでくれる料理の説明をしてくれた。
ここで出される料理は地産地消、この近くで採集、狩猟、栽培された食材を使っており、とても記憶に残る内容だった。旅が終わった今でも、マビーが作ったカワカワ・アイスの味と食感を思い出す。
近くで栽培されたトリュフを使ったバターとサワードウブレッド、冷やしたホワイトアスパラガス、アワビのサラミに風味豊かなタイムオイルをかけた珠玉の一品だ。
楽しむことだけに集中できる時間。
土曜日、4時30分にアラームが鳴る。今日はコロネット・ピークというリゾートで、パラグライダーのタンデムフライトとハンググライディングを体験する日だ。
朝日が昇る中、あくびをしながら運転していると、センターコンソールに取り付けられた赤外線カメラでドライバーの疲労を検知するCX-30のドライバーモニタリングというシステムが注意喚起してくれる。
マツダは独自のMazda Co-Pilot Concept(マツダ・コ・パイロット・コンセプト)の開発を進めており、この安全技術は今後さらに改良されていくだろう。
マツダには、安全技術においても「走る歓び」を高めるために貢献する、という考え方がある。
マツダ・コ・パイロット・コンセプトは、機械が完全に人間に代わって運転するのではなく、あくまで「人による運転」をサポートする技術によって、ドライバーが心から安心して運転できることを目指している。
南島では距離の長い道を数えきれないほど運転してきたが、マツダのテクノロジーのお陰で今までで一番リラックスして運転することができた。
マツダ・コ・パイロット・コンセプトは、パラグライダーのタンデムフライトで味わった気分と少し似ているかもしれない。
ワインディングの砂利道を走り、コロネット・ピーク中腹のスポットに到着、フライトの準備を整えた。さすがに緊張したが、私の担当パイロットのジャックは慣れた様子で落ち着き払っていたので、気分が楽になっていった。
実際に飛んでみると、フライトはなだらかな傾斜を歩くように簡単だった。ウィングが風を受けて膨らむと、パイロットのジャックと私の身体はふっと、宙に浮いた。今回の経験を通じて、パラグライディングは人間が飛ぶための平穏でやさしい手段だと思えた。人間が発明した、最も簡単に空を飛ぶ方法ではないだろうか。
経験豊富なジャックとともに飛んでいるという安心感に支えられ、フライトに慣れると、楽しさが身体中に満ち溢れてきた。空に浮いていられる原理は聞けば聞くほど、驚くことばかりだ。
私の様子を見ていたジャックは、パラグライダーを自分で制御し、幾つか技を教えてあげるからやってみないかと誘ってくれたが、曲がりくねって流れる川や雪をかぶった山脈を眺めているだけで十分だった。
世界最高のドライビングを楽しんだロードトリップの最後にジャックが操縦するパラグライダーに乗り、ニュージーランドの大自然を堪能できたことは、旅の最高の締めくくりとなった。