CX-5 開発主査 松岡 英樹
クルマ・商品
CX-5 開発主査 松岡 英樹
3つの特別仕様車をはじめ、これまでにない個性的なスタイルが話題のNEW MAZDA CX-5。今回は開発責任者である松岡主査に、新しいCX-5の魅力を聞きました。なぜ3つの特別仕様車が生まれたのかなどの開発秘話から、試乗する際に体感すべき乗り心地のポイント、さらに外観や荷室を確認する際のチェックポイントまで、内容は盛りだくさん。ぜひこちらを参考としていただき、お近くの販売店でNEW MAZDA CX-5を体感してみてください。
まず最初に、CX-5ってどんなクルマなのかをお話ししましょう。ひと言でいえば、“オールラウンダー”です。デザインも質感もよく、走行性にも走破性にも優れ、扱いやすく幅広い用途に使える。これがCX-5の最大の特徴だと思います。
2017年に登場した2代目のCX-5は、マツダ全体のブランド戦略もあり、“洗練された美しさ”という側面をアピールしてきました。それはそれで正しいのですが、洗練ばかりに光を当てるとCX-5本来のオールラウンダーという特徴が見えにくくなるのでは?という懸念も感じていたのです。
実際にユーザー調査をしてみると、CX-5に感じる魅力は人それぞれに異なっていました。つまり、同じCX-5でも、人によってはまったく違うクルマとして見ている。逆にいえば、それほどオールラウンダーとしてのポテンシャルが高いということです。
だったら今回の商品改良は、オールラウンダーとしての基本に立ち返ってSUV性能を磨き直したうえで、オールラウンダーたる多彩な個性をアクティブ・スポーティ・ラグジュアリーの方向でわかりやすく表現し、お客様が好みで選べるようにしたらどうか? そんな発想から、3つの特別仕様車が生まれたのです。当初はここまでする予定ではなかったのですが(笑)、今までにない商品改良をしようと、いろんな部署のスタッフが情熱を傾けてくれたおかげで、かなり振り切った個性をもつ3つの特別仕様車を同時開発できたのです。
NEW MAZDA CX-5の走りについては、まずはMAZDA3やCX-30にも採用されている新世代技術、SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(以下SKY-VA)の思想を取り入れたことがポイントになります。人間って歩くとき、頭が揺れないよう無意識に体がバランスをとっていますよね。それをクルマにさせようというのが、SKY-VAなんです。足がタイヤで、関節がサスペンション、そして骨盤を立ててシートに座れば、頭は安定し、自然と乗り心地も向上するというわけです。
この考え方のもと、今回はシートと車体の取り付け部の強度を高め、文字通り乗る人とクルマの一体感を向上させました。さらに、この状態を基準にスプリングとダンパーの特性を見直すことで、以前よりも揺れが少ないクルマに仕上げています。
この揺れが少ないという感覚は、販売店での試乗でもすぐに感じられるはずです。まずは店舗から道路に出る時の段差ショック。当たりがとても柔らかいと思います。ゆっくりとカーブを曲がるときの体の動きにも注目してください。いつもより体の傾きが小さいはずです。通常なら不規則な振動を感じるはずの荒れた路面も、スーッと滑らかに走ることができます。
一番わかりやすいのは、後席の乗り心地ですね。ご家族にも揺れが小さいと感じてもらえるのではないでしょうか。予期せぬ揺れが少なくなることで車酔いもかなり抑えられると思います。ぜひ体感してみてください。
もうひとつの走りのポイントは、マツダ インテリジェント ドライブ セレクト(Mi-Drive)です。これは状況に応じて3つの走行モードが選べるというもので、オフロードモードにすれば起伏の激しい悪路や未舗装路でも不安なく駆け抜けることができます。
開発にあたっては、広島の安芸高田市にあるオフロードコースで検証を行いました。というのも、実際にオフロードを走ったことがないという開発メンバーがいたんですね。それで、ズルズル滑る登坂路を顔を引きつらせながら走ったりして(笑)。みんなでオフロード性能の必要性を再認識し、最終的にはアメリカの国立公園あたりの荒野でも、難なく走れるような走破性を実現することができました。
スポーツモードは、ドライバーの操作に対する応答性を向上させました。特にディーゼル車では、ガソリン車のようなレスポンスの速さを感じていただけるはずです。
このMi-Driveがあれば、山道を走っているときに面白そうな脇道を見つけたらオフロードモードでちょっと入ってみるとか、帰りの高速道路ではスポーツモードで余裕をもって走るとか、ドライブの楽しさがさらに広がると思います。NEW MAZDA CX-5ならではの走りで、行きたい場所へストレスなく自由に出かけてもらえたらと思います。
デザインの大きな改良点はフロントマスクです。CX-5らしい洗練された印象は大事にしつつ、“タフさ”を表現するためにフロントグリルを広げ、力強さをプラスしました。これに合わせてランプユニットは奥行きを感じる2灯式のデザインに変更し、目元の存在感を強めています。
さらにフロントグリルには、アクセントカラーをあしらうというアイデアを盛り込みました。最初にデザイナーの提案を見たときは、えっ?と驚きましたが、遊び心があってすごくいいですよね。
色といえば、新色のジルコンサンドメタリックも印象的です。アクティブなモデルをつくることは決まっていて、今までにないことをやろうという方針もあり、こういう従来のマツダが出してこなかったような独特の色を提案しました。特別仕様車Field Journeyは、テントやキャンプ用のイスを持ち込んでアウトドアの風景をつくり込み、その世界観の中でクルマを見せて社内の承認を得たんですよ。
フロントマスクの力強さや、ジルコンサンドメタリック特有の色味など、今回のCX-5のデザインは実車を見ないと伝わらない部分が多いと思います。Field Journeyをはじめ、Sports Appearance、Exclusive Mode、どの特別仕様車にもそれぞれ魅力的な個性がありますので、ぜひ販売店に足を運んでもらって、いろんな距離や角度からご覧になっていただきたいですね。
荷室については、いかに容量を確保して使い勝手を高めるかを考えました。ひとつポイントにしたのは、今のアウトドア愛好家の方々は道具への思い入れが強いという点です。そのため、傷つけずに出し入れできるよう床面をフラットにし、床面の高さを上げて開口部との段差もなくせるようにしました。
一方で、床下の容量を増やすために工具を収めるスペースを前に移動させ、サブトランクの容量を35Lから55Lに拡大(ボーズ非装着車の場合。ボーズ装着車の場合は9Lから32Lに拡大)しました。これは、SKY-VAで車体に手を加えることになったので可能になった改良点です。
そのほかにも、床面の高さを前後で変えられたり、床下のサブトランクを常時使えるようにできたりと、多彩な使い方ができるように設計してあります。販売店でチェックする際は、実際に何を積むか、具体的な荷物やキャンプ道具などをイメージしながら確認していただくと、その使いやすさがわかってもらえるのではないかと思っています。
NEW MAZDA CX-5は、SUVとしての基本に立ち返って、走りやデザイン、利便性を大きく進化させました。コロナ禍の今は、公共交通機関よりもクルマで出かけたいという方も多いかもしれません。そんなとき、あそこまで行くのは大変だなとか、面倒だなとかではなく、このCX-5だったら行ってみようかなと思ってもらえたら、すごくうれしいですね。そのうえで、今回の3つの個性がお客様のライフスタイルをよりよいカタチで広げることができたら、つくり手として本当にうれしく思います。
(2021年10月 広島本社にて取材)
* 撮影車両は開発試作車両のため、実際の仕様と異なる場合があります。
車両は駐車して撮影しています。