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開発者がそっと教えるCX-80を堪能するための裏ワザ|
エンジンサウンドのキモは音の変化にあり。変化を体感する運転方法とは


マツダの国内最上級 SUV、MAZDA CX-80は、“最上級”という言葉にふさわしいこだわりに満ちています。パフォーマンス、デザイン、安全性能、ユーティリティだけではありません。ドライバーが運転中、耳にするエンジンサウンドにも、私たちマツダの最新のこだわりを投じています。

こだわりのエンジンサウンドの根底にあるのは、マツダの車両開発すべてに共通する核である「人間中心」という開発思想です。この思想に基づき、CX-80に乗るすべての方が「クルマに乗るって、楽しい」と感じていただけるよう、良いサウンドを研究し、その音を奏でるよう、エンジン、車体、オーディオなどさまざまな部分に意匠を凝らしています。

では、そのこだわりのエンジンサウンドを楽しむためには、ドライバーにはどんな運転操作が求められるのでしょうか。「日常的な運転の中でも、エンジンサウンドに投じた意匠は楽しんでいただけます。もちろん、試乗のときにも」と語るのは、エンジンサウンド開発を担った、エンジニアの髙﨑 神風です。この記事では、試乗したらきっと試したくなる、CX-80の「エンジン・サウンドの鑑賞術」を、開発者がこっそり語ります。

1. 「このクルマ、いい音してる!」の正体を研究する

髙﨑 神風 (Kamikaze Takasaki) 車両開発本部 NVH(Noise Vibration Harshness)性能開発部 第1 NVH開発Gr. エンジニア

CX-80では、どんな「良いエンジンサウンド」を狙ったのでしょうか。まずはサウンドのコンセプトを教えてください。

髙﨑:マツダには、人間がクルマに合わせるのではなく、人間に合わせてクルマをつくるという、「人間中心」の開発思想があります。この思想をもとに考えると、エンジンサウンドは、「もっとアクセルを踏め」と、ドライバーを急かすようなものであってはなりません。

私たちが追求したコンセプトは、ドライバーがクルマを自在に操っていると感じていただけるサウンド、いわば、私達が「人馬一体」と表現する、ドライバーとクルマが一体になったかのように感じていただけるサウンドです。

人馬一体感を感じられる「良いサウンド」とは一体どのようなものでしょうか?

髙﨑:ドライバーにとっての良いサウンドについては、私たちは常に研究しており、その正体は「ドライバーが直接扱うトルクの大きさを表現したサウンド」だと考えています。

ドライバーがアクセルを操作するとトルクが発生し、クルマが動く。こうした一連の流れをサウンドとしてフィードバックすることで、ドライバーは「意のままにクルマを操作している」と感じ、人馬一体感が得られます。こうした感覚が得られることで、運転精度の向上も期待できます。
CX-80、また先行するCX-60においては、さらに一歩踏み込んで、ドライバーが運転する歓びや高揚感を感じられるようなエンジンサウンドを目指しました。

エンジンサウンドの変化がもたらす、ドライバーの高揚感

気になるのは、それらサウンドを具体的にどのように表現しているかです。

髙﨑:重要なのは、サウンドの変化です。ドライバーのアクセル操作に対して、車速が変化しますが、それに追従してサウンドもなにかしら変化します。この変化を感じることで、ドライバーは「自分の操作にクルマが機敏に反応している」という、操作する歓びや、高揚感が得られると私たちは考え、サウンドの変化をクリアに感じられるよう、さまざまなチューニングを施しています。

CX-80では、ドライバーが感じられるサウンドの変化は、大きく以下の3つに整理できます。

■音の大きさの変化
→ドライバーが扱うトルクの大きさの変化を伝える

■和音↔干渉音※への音色の変化
→ドライバーの「加速しよう」という意思にクルマが追従している感覚を伝える

■周波数の変化
→車速と回転数上昇に対して途切れなく加速感が続く、気持ちの良い伸び感を伝える

  • 和音とは音程の異なる3つ以上の音の重なりのことで、ギターやピアノでコードを弾いたときの一体感のある音の重なりのイメージです。
    一方で干渉音とは、音程の近い2つの音が鳴ったときの「ウワンウワン」といったうねりのある音をイメージすると分かりやすいでしょう。

これらの変化が絡み合ってドライバーの耳に届くことで、操作に対するクルマの反応が明瞭に感じられ、自分とクルマが一体になったように感じられます。こうしたサウンドの変化を生み出すために必要な要素はエンジンだけではありません。エンジンと車体を接続するマウントというパーツを最適化するなど、車両のさまざまな部分を作り込んでいます。また、オーディオからサイン波と呼ばれる合成音を発生させ、より心地よく際立ったエンジンサウンドが楽しめるように仕上げています。
車両全体の作り込みによって実現したエンジンサウンドとその変化を意識していただくと、CX-80の運転が一層楽しくなると思います。

良いエンジンサウンドを楽しむための、ノイズを低減させる意匠の数々

サウンドを楽しむうえでは、車内の静かさや、ノイズの少なさも重要な要素だと思います。

髙﨑:その通りです。サウンドを楽しむ以前に、静粛性やノイズの少なさはクルマに乗る方の快適性に大きな影響を与えます。だからこそ、車内の静粛性を高める遮音性能と、ドライバーが感じる不快な音(ノイズ)の低減には非常に注力しています。

CX-80ではとくに遮音性能を高めていますが、そのための意匠は残念ながらクルマの外観からは分かりにくい部分です(笑)。しかし、ノイズ低減のための意匠のいくつかは、すぐにご覧になれます。例えば、風切り音は代表的なノイズの一つですが、CX-80のドアミラーはこれを低減する形状が作り込まれています。

髙﨑:ご覧の通り、ドアミラーの前部が鋭い流線型の形状になっているのがお分かりになると思います。この形状にすることで走行時に空気がきれいに流れ、風切り音が低減されています。

車体のさまざまな部分に、こうした工夫を凝らし、静粛かつノイズの少ない車内空間を実現しているのです。試乗に出られる前に、ぜひドアミラーもじっくりとご覧いただきたいですね。

2. クルマを走らせなくてもOK!
開発者が教えるCX-80のエンジン・サウンドを堪能するための裏ワザ

裏ワザQuick Access

①エンジンサウンドの変化を動画で感じる

②走行シチュエーションによって異なるサウンドを楽しむには、特別な操作は不要

③直列6気筒エンジンのありのままの音を楽しむためにはシフトを「N(ニュートラル)」に

サウンドの変化を動画で体験

さて、肝心要の「エンジンサウンドの変化」を、ドライバーはどうすれば堪能できるでしょうか?

髙﨑:さんざん語ってきましたが、サウンドを口で説明するのは難しいです(笑)。まずは、以下の短い動画で、CX-80のエンジンサウンドの魅力である「変化」を体感してみてください。なお、動画ではマツダ インテリジェント ドライブ セレクト (Mi-Drive) を、サウンドがより顕著に感じられるSPORTモードにしています。皆様が試乗される際も、ぜひモードを切り替えてサウンドを楽しんでみてください。

 

髙﨑:動画の前半では0〜60km/h加速をイメージしてアクセルを踏んでいます。トルクの立ち上がりの部分では静かな印象ですが、徐々にトルクが発生し、3,000rpm付近に近づくにつれて、うねりのある干渉音が顕著に感じられるようになってきます。街乗りやバイパスを走るといった日常的なシチュエーションでも、ドライバーは「アクセル操作にクルマが反応している」と感じられるでしょう。

動画の後半では、高速道路への合流などをイメージし、アクセルを少し強めに踏んでいます。トルク上昇とともに干渉音が盛り上がっていき、4,000rpmに近づくにつれて、徐々に和音へとサウンドが変化しています。クルマを操る歓びと高揚感を喚起するのは、こうした駆け上がるような変化です。

アクセル操作にも注目してみてください。アクセルは細かい操作をせず、ただ一定の開度で踏んでいるだけです。ある回転数やスピードを維持しないといけない、といった難しい操作は必要なく、交通環境に合わせて安全に操作するだけで、CX-80のエンジンサウンドの変化を楽しんでいただけるでしょう。

難しいアクセルワークの必要なし。走行シチュエーションによって異なるサウンドを楽しむ

CX-80のエンジンサウンドを楽しむ上で、他にはどんな方法があるでしょうか?

髙﨑:走行するシーンに応じて、実は細かくサウンドを設計しています。例えば、市街地をゆったりと流すシーン、高速道路で高い速度を維持して走るシーン、ワインディングで加速・減速を繰り返すシーンなどで、サウンドのキャラクターは異なります。こうしたキャラクターの違いもぜひ楽しんでいただきたいですね。

一例を挙げるなら、市街地をゆったりと流すシーンでは静かで抑制されたサウンドにしています。こうしたシーンでは同乗者の方との会話やラジオや音楽を楽しむ方も多いでしょう。ですから、エンジンサウンドが邪魔にならないよう、意図的に控えめにしています。

そういったキャラクターの違いを体感するには、どのような操作が必要でしょうか?

髙﨑:特別な操作は不要です。お好みのシーンで交通の流れに乗って運転し、ふと気付いたときに、エンジンサウンドに耳を傾けていただければ、「さっきとはサウンドが違うな」と感じていただけるでしょう。この方法ならきっと多くの方がCX-80のエンジンサウンドの意匠を楽しめると思います。

直列6気筒エンジンのありのままの音を楽しむための方法は、クルマを走らせない

髙﨑さんご自身は、どんな風にCX-80のエンジンサウンドを楽しんでいただきたいと思いますか?

髙﨑:もしも試乗されるのがディーゼルエンジン、あるいはハイブリッド(ディーゼル)ならば、直列6気筒という個性的なスペックのエンジンが奏でる、ありのままの音は一聴の価値があると思います。

どうすれば、直6サウンドを楽しめるでしょうか?

髙﨑:こちらも、特別な操作は不要です。ドライバーはエンジンをかけ、ギアをN(ニュートラル)に入れ、停車状態でただ耳を傾けるだけです。クルマが走り出すと、先にお伝えしたサイン波を用いた合成音がオーディオから発せられますが、Nの状態では他の音が混ざることなく、直列6気筒サウンドだけが楽しめます。

周囲にエンジン音で迷惑をかけない環境であれば、安全に配慮しつつNのまま少しアクセルを踏んでみるのもいいでしょう。4気筒エンジンとは異なる、クリアでなめらかな直6サウンドの刺激的な吹け上がりをきっと感じていただけると思います。先の動画の冒頭に収録されているのは、まさにこうしたサウンドです。

3.マツダの考える良いエンジンサウンドを、ドライバーの皆様の感性で捉えてほしい

さまざまな観点で作り込んだCX-80のエンジンサウンドを、ドライバーの皆様にどのように楽しんでいただきたいと思いますか?

髙﨑:繰り返しになりますが、ここまでお話ししたエンジンサウンドの意匠は、人間中心という設計思想に基づいて作られた、いわば「マツダの考える、良いエンジンサウンド」です。私たちの提案する良質なサウンド、そしてその内にある意匠を、まずは楽しんでいただきたいです。そして皆様がCX-80を操るなかで、人間中心のエンジンサウンドがもたらす人とクルマの一体感、人馬一体とはこういうものか、と、皆様ご自身の感性で捉えていただけたら、とても嬉しいです。

髙﨑さん、どうもありがとうございました。