そして伝統は未来へと受け継がれる
現在は世界中でこれほど愛されている秋田犬ですら、時代の波に揉まれて消滅してしまう可能性は十分にあった――秋田犬のストーリーは、伝統を守り、文化として育てていくことの難しさを教えてくれる。
現在、日本国内での秋田犬の展覧会は年に2回は行われているという。
展覧で高い評価を得た犬には交配の依頼があるそうだ。
そうやってすぐれた素質を残していくことが、伝統を取り戻し、守ることにつながると川北さんは言う。
最後に、「どうして秋田犬なのですか?」と聞いてみた。
川北さんは、数メートル先で思慮深げにたたずむ美しい赤毛の愛犬に目を細めながらこう言った。
「だって、こんなきれいな眼差しと品格のある顔をした犬、秋田犬のほかに世界のどこにもいないじゃないですか」その一言にこめられた思いが、秋田犬の伝統を次代につないでいくのだろう。
伝統×マツダ=ロードスターの守ってきたもの。
ロードスターは、「走る歓び」を目指すマツダがクルマづくりの指標と位置づける車種。
4代目となる現行モデルでは、人がクルマを楽しむ感覚=「感(かん)」をコンセプトに大胆な軽量化を実現したとのことで、初代ロードスターの軽快感や意のまま感が味わえる。
期間限定ではあるが、1989年2月に世界デビューした際のボディカラー、「クラシックレッド」を復刻したのも、伝統を大切にする意志の表れだろう。
クルマの伝統もまた、それを愛する人の手によって守られ、文化として形作られていくのだ。
- 写真(左)1989年発売時の「クラシックレッド」 (右)2017年に限定発売された復刻版「クラシックレッド」