サンシャイン・コーストの最大の魅力は、ひとりで大自然とじっくり向き合えること。

写真家として世界を飛び回るカラム・スネイプ。
故郷のカナダに戻る時、彼には必ず訪れる場所がある。

旅行・冒険写真家 カラム・スネイプ

ハウ海峡の水面にカメラを向けながら、写真家のカラム・スネイプは「シャチを見つけたら教えてくださいね」と声を弾ませた。早朝の強い風の中での撮影に備え、彼は首元まで覆う防寒ジャンパーを着こんでいる。
「ここではよくシャチやザトウクジラ、アザラシの群れを見かけます。いつも、何かしら海の生き物に遭遇できるんですよ。」

夜が明けた頃、ホースシュー・ベイを出港するフェリーに彼の姿はあった。行先のラングデールはあまり知られていないが、カナダのブリティッシュ・コロンビア州で最も美しいドライブルートがあるサンシャイン・コースト地域の玄関口だ。全長約180キロの曲がりくねったルートは海岸線やレイクランドに沿って走り、原生林を通る。途中には漁村や画房、壮観な景色が楽しめるハイキングトレイルがある。
「サンシャイン・コーストは活動拠点のバンクーバーからアクセスも良いのが最高なポイントの一つです」とカラム。「このフェリーに乗って1時間もすれば、都会の喧騒から遮断された大自然があるんです」。

このルートを今まで6回走っているカラムは、フェリーがラングデールの船着き場に近づくと運転するのが待ちきれないのか、愛車のMAZDA CX-30 ターボに小走りに駆け寄っていった。
「運転が大好きです。原生林を縫って走り、海の景色を眺めていると、まるで瞑想をしているような気分になるので、僕にとっては特別なルートです。幼い頃の家族旅行を思い出すので、郷愁に近いものを感じるのかもしれませんね。このルートには様々な風景が待ち受けているので、走るとワクワクします。次のコーナーの先には、何が待ち構えているか楽しみで仕方ありません!」

CX-30 のエンジンが始動し、カラムはフェリーのランプを下船する。サンシャイン・コースト・ハイウェイに乗る間際、彼はにっこり笑って「準備はいいですか?」と言った。
「さあ、冒険が始まりますよ!」

サンシャイン・コースト・ハイウェイ | 走行時間 約2時間 | 全長110km

ここからは、カラムによるサンシャイン・コースト・ハイウェイの楽しみ方をお届けする。
バンクーバーから出発して、ホースシュー・ベイからラングデール行きのフェリーに乗り、ラングデールから南西に走ってギブソンズに向かう。ギブソンズから25分走ると、サンシャイン・コーストドライブ前の最後の市街地、シーシェルトに到着する。そこから北西に向かい、ハーフムーン・ベイに沿って走り、ブルックス・ロードを左折するとスマグラー・コーブ・マリーン州立公園がある。今度は北に向かい、ペンダー・ヒルまで回り道をした後、ハイウェイに乗って小さな漁業の村、エグモントに向かう全長110キロのルートだ。

ギブソンズからシーシェルトへ

フェリーを降り、ラングデールから南西に10分ほど走ると牡蠣が有名な小さな港町、ギブソンズに到着する。港町らしく、波止場沿いにはフィッシュアンドチップスのレストランが軒を並べている。まずはビーチコマー・コーヒーに寄り、美味しいホットコーヒーかアイスラテをテイクアウトするのがお決まりのパターン。ここからサンシャイン・コースト旅本番だ。

フェリーを降り、ラングデールから南西に10分ほど走ると牡蠣が有名な小さな港町、ギブソンズに到着する。港町らしく、波止場沿いにはフィッシュアンドチップスのレストランが軒を並べている。まずはビーチコマー・コーヒーに寄り、美味しいホットコーヒーかアイスラテをテイクアウトするのがお決まりのパターン。ここからサンシャイン・コースト旅本番だ。

ギブソンズから走るとすぐに、ブリティッシュ・コロンビア州に位置するこの地域の独特な雰囲気が感じられる。道沿いには陶芸や絵画、貴金属制作など、様々な分野のアーティストのワークショップの看板が見えてくる。アーティスト達は、結束が強いクリエイティブなコミュニティを形成しており、多くのアーティストは近隣で取れる木材、石やその他自然の資源を使った作品を生み出している。

海岸に沿って北西に25分ほど走ると、シーシェルトに到着する。この町では、アーティ・ジョージがコースト・レーブン・デザインスタジオを主宰している。アーティはツレイ・ワウテュース (Tsleil-Waututh) ネーションに属する先住民の彫刻家。36年に渡り、この地域に生息する杉やイエローパイン (北米産松) の木を使った美しい彫刻を製作し続けている。

シーシェルトからスマグラー・コーブ

シーシェルトとは、先住民の言葉で「2つの水の間の土地」を意味する。シーシェルト海峡南端とジョージア海峡に挟まれた場所にある、全長1キロほどの土地で、サンシャイン・コーストのドライブ前の最後の市街地だ。シーシェルトから北西に走ると建物が少なくなり、大自然がその姿を現し始める。景色は原生林へと変わり、海岸に目を向けると、左には低い岩肌が特徴的なトレイル・アイランズが見える。

シーシェルトとは、先住民の言葉で「2つの水の間の土地」を意味する。シーシェルト海峡南端とジョージア海峡に挟まれた場所にある、全長1キロほどの土地で、サンシャイン・コーストのドライブ前の最後の市街地だ。シーシェルトから北西に走ると建物が少なくなり、大自然がその姿を現し始める。景色は原生林へと変わり、海岸に目を向けると、左には低い岩肌が特徴的なトレイル・アイランズが見える。

海岸線に沿って走り、美しい港がある村、ハーフムーン・ベイを通り過ぎてブルックス・ロードへ左折すると、スマグラー・コーブ・マリーン州立公園がある。公園内にはこの地域で最高と評価されている、全長4キロの歩きやすいハイキング・ルートがある。ハイキングをしながら、現実とは思えないほど美しい景色を堪能するのがお薦めだ。巨大な米ヒバの森から始まるルートは米ヒバの木が水に浸っているエリアへとつながり、驚くほど新鮮なヒバの香りを味わうことができる。木製の遊歩道を歩き、複数の湖があるエリアを抜けると、ゴツゴツした岩が並ぶスマグラー・コーブに到着する。

スマグラー・コーブという地名はアメリカの禁酒時代、ラム酒の密輸入業者の隠れ場所だったことに由来する。いわくつきの歴史を持つ場所だが、岩石が並ぶ入り江の景色を眺め、浜に打ち寄せる波の音を聞きながらリラックスするには最高の場所だ。


次ページは旅の最終地点「エグモント」までの道のりについて

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