MAZDA CX-30でイタリアのコモ湖を走る。
Words Jenni Doggett / Images Tanveer Badal
「空を観察していると、広大な宇宙の中では自分がいかに小さな存在か、思い知らされます」。
フィレンツェを拠点に活動しているアーティスト、ソニア・ブガルター (Sonia Bukhgalter) は自然を愛し、自然への感動を率直に語る。今回の旅はイタリアのロンバルディア地方のワインディングをドライブし、コモ湖の黄金の光を見ること。筆者が運転を担当し、私にとってインスピレーションの源でもあるソニアが同行する。二人とも冒険が待ちきれない。
ソニアは幻想的な空を描くアーティストとして知られている。主に金箔を張ったキャンバスに油絵を描くという手法を取り入れている彼女は、広大な自然、そして自然における人間の居場所をテーマにアーティスト活動を行っている。
旅のスタート地点は、コモ湖の東南に位置する都市レッコ (Lecco)。出発する際、ソニアは母親の工房で箔置き (ギルディング) の技術を、フィレンツェにある高名な美術大学Libera Academia di Belle Artiで油絵を学び、自らの手法に情熱を傾けていると話してくれた。
「テクニックが深く身につくと、自らが解放され、自己表現ができるようになる。テクニックではなく、伝えたい感情を大事にしています」。
「ここではマホガニー色のモーターボートが湖を横切る音、
そして飛行機雲を描く水上飛行機の走行音が遠くに聞こえるだけ」
彼女の言葉を聞いてアーティストのテクニック同様、素晴らしいデザインも一見しただけでは分からないことを思い出した。ここからの道は、チャレンジの連続だ。想像をはるかに超えた狭い道や、悪魔のように険しいジグザグ道路が続き、礼儀正しい歩行者が唯一の救いだ。ここでは直感的なドライビングが求められるが、CX-30のパフォーマンスは素晴らしくスムーズで、ステアリングを握りながらつい空想にふけってしまうほどの余裕を与えてくれる。
光と影がストライプを織りなすトンネルを抜けると、アイスクリームのような色合いの別荘が建ち並ぶレモンとピスタチオ色のエレガントな通りに出た。通りの両側には巨大なヒノキの木々がそびえ、目に鮮やかなマゼンタ色のゼラニウムが咲き誇っている。
陽が陰るとクルマを停め、ソニアはスケッチを始める。雲が流れ、水銀色の空は毎秒、その表情を変化させる。スケッチを行うソニアに対し、なぜそんなに速く風景を捉えられるのかと聞いた。彼女は尊敬するアーティストの1人、マーク・ロスコの言葉 「絵画とは体験を描いた絵ではなく、体験そのものである」を引用して答えてくれた。ソニアがスケッチをする様を観察していると、まず風景の破片を捉えていることに気付いた。風景全体ではなく、風景の印象を集めているかのようだ。スケッチ後、彼女は自らのスタジオに戻り、捉えた破片を解釈して作品を仕上げていく。
陽が陰るとクルマを停め、ソニアはスケッチを始める。雲が流れ、水銀色の空は毎秒、その表情を変化させる。スケッチを行うソニアに対し、なぜそんなに速く風景を捉えられるのかと聞いた。彼女は尊敬するアーティストの1人、マーク・ロスコの言葉 「絵画とは体験を描いた絵ではなく、体験そのものである」を引用して答えてくれた。ソニアがスケッチをする様を観察していると、まず風景の破片を捉えていることに気付いた。風景全体ではなく、風景の印象を集めているかのようだ。スケッチ後、彼女は自らのスタジオに戻り、捉えた破片を解釈して作品を仕上げていく。
アグエリオ峠（Agueglio Pass）の麓にあるヴァレンナに到着、いよいよ山道を登り始める。ドライブをしながら、ソニアがイーゼルを置いてスケッチするための見晴らしの良いポイントを探す。先が見えない曲道が連続する、アルプスに近い山の峠をゆっくりとスラロームしながら走っていると、バイクが車体を倒しながら目の前を走り去っていく。山を登り、空に近づいていくと、まるで催眠術をかけられたような錯覚に陥る。間もなく湖を覆う雲の上の地点に到着、自然の光に感動し、アートや人生、宇宙などについて2人で語り合っていると、いつの間にか車内には穏やかで温かい雰囲気が漂っていた。
アグエリオ峠（Agueglio Pass）の麓にあるヴァレンナに到着、いよいよ山道を登り始める。ドライブをしながら、ソニアがイーゼルを置いてスケッチするための見晴らしの良いポイントを探す。先が見えない曲道が連続する、アルプスに近い山の峠をゆっくりとスラロームしながら走っていると、バイクが車体を倒しながら目の前を走り去っていく。山を登り、空に近づいていくと、まるで催眠術をかけられたような錯覚に陥る。間もなく湖を覆う雲の上の地点に到着、自然の光に感動し、アートや人生、宇宙などについて2人で語り合っていると、いつの間にか車内には穏やかで温かい雰囲気が漂っていた。
太陽が沈み始める頃、壮大なパノラマを見られる絶景スポットを発見。湖の上にはローズゴールド色の空が広がり、薄暗い夕暮れの光を受けたCX-30のプラチナクォーツメタリックのボディは、その輝きを増していた。
「トラックが大きな音を出しながら、過酷な急勾配を上る
サイクリストたちを追い抜いていく」
ソニアはスケッチに没頭、光沢のあるチタニウムホワイト、バーントシェンナと呼ばれるくすんだ赤色、そして朱色の油絵具をパレットに絞りだし、手際よく混ぜてデリケートな色のスペクトルを作っていく。金箔が貼られたキャンバスには、透明な油絵具の層を作り出していく彼女の動きが反射され、夢のような変化が起きている様を目の当たりにした。
あっという間に日が暮れ、山々の姿も夜空に消えてしまった。ソニアはスケッチに満足し、スタジオに戻ってスケッチで切り取られた印象から作品のイメージが沸き上がることを楽しみにしている。峠をゆっくりと降りていくと外の空気は暖かく、ジャスミンの甘い香りが漂っている。車内には小さな存在が2人、幸せを噛みしめていた。