30周年を迎えた MAZDA MX-5(日本名:ロードスター)の全世代モデルに乗って、
見事な景観が楽しめる英国の道を走ったらどうだろう?
このアイデアを採用したMazda Stories編集部はウェールズ、イングランド、スコットランドと北アイルランドの有名なドライブルートを走る30周年記念ロードトリップを敢行した。

Story by Dan Trent, Photography by John Wycherley

*本ページに掲載のNDモデルは海外仕様車となります。

この記事の巻頭を飾るに相応しいのは、オープントップ・ドライビングのスピリットを純粋に受け継いだ初代 MAZDA MX-5。

タイムレスなレーシンググリーンという塗装色も、オープンロードを走るという夢のために誕生した1960年代のイギリスのスポーツカーを彷彿とさせる。

この時代のスポーツカーが提供した興奮やワクワク感を新たな時代に復活させるため、様々な国の自動車ファンから成るチームが1980年代に初代MX-5を開発、世界に誇るマツダの名車へと成長した。

MAZDA MX-5 第一世代 [1989年]

MX-5の開発に携わったデザイナーやエンジニアは日本人だが、ウェールズ南部で初代MX-5を運転していると、海の向こうでこのクルマに関わった開発陣が目指していた雰囲気が明快に伝わってくる。

ブラック・マウンテンは荒涼として険しく、道は地形に沿ったワインディングだ。谷では背の高い生垣に挟まれて走るが、高度が増すと開けた丘の中腹へと景色が変わる。

さえぎるものが何もない広大な景色を眺めていると、最高の気分になる。

ブラック・マウンテン・パスのようなワインディングでは、クルマの馬力よりも俊敏性が重要となる。

ドライバーとクルマとの人馬一体、そしてオープンエアでのドライビングというスリルは、スピードを超越したドライビング体験へと昇華する。

 

初代 MX-5 は、まさにこのようなドライビング体験を味わえるクルマだ。

バランスの取れたハンドリングが、滑らかにシフトするギアや溌剌としたツインカムエンジンと完璧に調和している。

シンプルなクルマかもしれないが、30年以上前に描かれた青写真は今なお、ドライバーを魅了し続ける。

MAZDA MX-5 第一世代 [1989年]

ブラック・マウンテンから北に向かい、ウェールズを通ってイングランドに入る。

通り道となったリバプールとマンチェスターは共に産業、音楽とサッカーを伝統とする都市だ。目指すのは湖水地方、レイク・ディストリクト。

美しい自然を求め、都市の喧騒から離れてのんびりしたい観光客が訪れる場所だ。

レイク・ディストリクトの中心部に位置するホニスター・パスは標高305メートル超、ヘアピンや急勾配が連続するルートとして知られている。

MAZDA MX-5 第二世代 [1998年]

道はウェールズの道よりも狭く、時にはクルマ一台が走れる幅しかない。ドライバーにとって、よりチャレンジングな道だ。

ここを走るのは第二世代MX-5。初代と比べると、より多くのドライバーに愛されるために進化を遂げたことが見て取れる。コーナーがきつくてスピードを出せないため、第二世代から搭載されたパワーステアリングは重宝する。

6速マニュアルのギアボックスは、1.8Lエンジンのパワーを楽しむにはうってつけだ。

ソフトな感触の室内やリアデフォッガー付コンバーチブルルーフなど、よりラグジュアリーな仕様となっている。

初代MX-5の純粋さは、第二世代にしっかりと受け継がれている。

コンパクトなボディサイズにより、ホニスター・パスの狭い道でも運転を思い切り楽しむことができる。

サイズの大きなクルマでは岩肌が剥きだした壁や狭い道での対向車に備えて、慎重な運転を強いられるだろう。でもMX-5ならドライビングと壮大な景色の両方を楽しむことができる。

目の前の景色が広がると同時に、ドライバーはよりクルマとの一体感を感じられる。

ルーフを下げて、360度のパノラマで景観を楽しむのがお薦めだ。


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