MAZDA MX-5 第三世代 [2005年]
イングランドのレイク・ディストリクトからちょっと走ると、スコットランドとの境界線に到達する。境界線に近づくにつれ、景色が変わっていく。
スコットランドを走るのは、ハードトップがその威力を発揮した第三世代のMX-5。
活気のあるマーケットで知られるモファットを抜け、セント・メアリーズ・ロックへと北西に走る道はボーダーズ地域の中心部へと続く。この地域は近くのツイード川でのサーモン漁で有名だ。
ハイランド地域には到達していないものの、景色はウェールズやイングランドよりも荒々しい。
「スコットランドの天気が気に入らないのなら、数分待てば天気ががらっと変わる」とはよく言ったものだ。まさにその言葉通り、運転していると雨と太陽が交互に訪れる。
第三世代ではハードトップを数十秒で開閉できるため、ドライバーにとっては何とも有難い。
第三世代の MX-5は、よりがっしりとして広々とした印象だ。
でも純粋なドライビング体験というMX-5本来の価値は少しも失われていない。マツダのグラム戦略によって、車体重量は最小限に抑えられた。
2Lエンジンのエキストラパワーも素晴らしく、セント・メアリーズ・ロックのオープンロードでの走りを存分に楽しませてくれる。
ドライビングの最中、一羽のイヌワシが鋭い爪を剥きだして我々の頭上に舞い降りてきた。スコットランドのロッホ(湖)の上を雄大な猛禽が舞う姿は、まるで魔法のように素晴らしい、記憶に残る瞬間だった。
イヌワシが舞い降りた時、ルーフは下がっていたので、スリル満点の体験をすることができた。
MAZDA MX-5 第四世代 [2015年]
30年という年月をかけて進化した最新型のMX-5を走らせるのは、北アイルランド ラーンの北にある海岸沿いのルート。
スコットランドから北アイルランドまでは、フェリーで2時間ちょっとだ。
このエリアを走っていると、景色は埠頭から農地へと変わり、海沿いの町を経て海と絶壁に挟まれた海岸ルートへと続く。
このルートを走れば、北アイルランド北東部の海岸線を走破できる。ラーンから数マイルしか離れていないが、息をのむような景色と海岸沿いのドライブを楽しむことができる。
このルートを満喫するために今回はソフトトップを選んだ。
第四世代のロードスターは進化したコネクティビティや安全技術を搭載しているが、初代のスピリットやドライビングスタイルが忠実に守られていることを実感できる。
最新のMX-5は30年前に発表された初代同様、コンパクトな作りで初代よりもほんのちょっとだけ重量があるが、初代の溌剌さ、楽しさと俊敏性を備えている。
特にエンジンとギアボックスは素晴らしく、SKYACTIV-Gのモーターは伝統的なスポーツカー・エンジンのごとく熱烈に唸り 、正確でシフトが短いギアボックスと見事に調和している。
エグゾーストが発する唸り声が岩の壁に反響する。
開放感は、感銘を受ける景色での運転の喜びと密接に関係していることをMX-5は教えてくれた。
30周年、おめでとう。
MX-5は、今でもドライバーのスピリットが共鳴するクルマだ。