陶芸の美を極める有本 空玄 (ありもと くうげん)

広島で生まれ育った陶芸家、有本 空玄は「志野焼は雪のように柔らかいんです」と語る。「28になるまで陶芸には全く興味がなかったのですが、偉大な陶芸家による志野焼の茶器の柔らかな赤みを見て、雷に打たれたような衝撃を覚えました。以来、この茶碗のような作品を作ることが陶芸家としての原動力となっています」。有本の言う偉大な陶芸家とは、人間国宝の陶芸家、荒川 豊蔵 (あらかわ とよぞう)。荒川の作品に追いつくという目標の下、長年陶作に励んできた有本は、今では日本で最も格の高いギャラリーで個展を開くまでとなった。

広島で生まれ育った陶芸家、有本 空玄は「志野焼は雪のように柔らかいんです」と語る。「28になるまで陶芸には全く興味がなかったのですが、偉大な陶芸家による志野焼の茶器の柔らかな赤みを見て、雷に打たれたような衝撃を覚えました。以来、この茶碗のような作品を作ることが陶芸家としての原動力となっています」。有本の言う偉大な陶芸家とは、人間国宝の陶芸家、荒川 豊蔵 (あらかわ とよぞう)。荒川の作品に追いつくという目標の下、長年陶作に励んできた有本は、今では日本で最も格の高いギャラリーで個展を開くまでとなった。

   

志野焼の器には、シンプルさと優雅さが同居する。もぐさ土と呼ばれる耐火温度が高く、焼き締まりの少ない白土で作った器に、志野釉と呼ばれる白い長石釉をかけて焼いて作られる。土と釉 (ゆうやく、うわぐすり)、そして窯しか必要としない。理想とする柔らかさを表現するために、有本は独自の土と長石を発掘し、加工する。「ずいぶん前の話なのですが、ハイキング中にもぐさ土を見つけて、56トンの土を広島に運びました。これで一生、土には苦労しなくなりました」と有本は語る。

志野焼の器には、シンプルさと優雅さが同居する。もぐさ土と呼ばれる耐火温度が高く、焼き締まりの少ない白土で作った器に、志野釉と呼ばれる白い長石釉をかけて焼いて作られる。土と釉 (ゆうやく、うわぐすり)、そして窯しか必要としない。理想とする柔らかさを表現するために、有本は独自の土と長石を発掘し、加工する。「ずいぶん前の話なのですが、ハイキング中にもぐさ土を見つけて、56トンの土を広島に運びました。これで一生、土には苦労しなくなりました」と有本は語る。

   

日本、そして世界中に喜びをもたらす作品を作ることで、役に立てればと思います。
有本 空玄

独学で陶芸を学んだ有本にとって、陶芸とは試行錯誤と研究の連続だ。自らのエネルギーや感情を作品に込めるため、有本は電動ろくろではなく、手びねりで陶作する。志野焼の特徴である赤みのある景色を出すために、有本は窯に火を入れてから5日間、低温を維持する。また窯入れした器の6割から8割を破壊し、最高の器しか残さない。「時代を越えて、観る人にインスピレーションを与える作品を作りたいんです」と有本は言う。偉大な陶芸家の茶器のような器は作れましたか、という問いに対し、有本はにっこりと笑い、「まだですね」と答えてくれた。

独学で陶芸を学んだ有本にとって、陶芸とは試行錯誤と研究の連続だ。自らのエネルギーや感情を作品に込めるため、有本は電動ろくろではなく、手びねりで陶作する。志野焼の特徴である赤みのある景色を出すために、有本は窯に火を入れてから5日間、低温を維持する。また窯入れした器の6割から8割を破壊し、最高の器しか残さない。「時代を越えて、観る人にインスピレーションを与える作品を作りたいんです」と有本は言う。偉大な陶芸家の茶器のような器は作れましたか、という問いに対し、有本はにっこりと笑い、「まだですね」と答えてくれた。

マツダ株式会社:匠の技を誇る技術者たち

マツダ株式会社では、ツーリング製作部の技術エンジニア、佐伯 千春 (さえき ちはる) が出迎えてくれた。研究所に案内してくれた彼女は、マツダの新たなトレーニング・プログラムについて語ってくれた。 「「真の匠」と呼ばれる金型制作技術を会得する為には、約20年程かかります。それを私たちは5年に短縮させ、チームのスキルレベルを大幅に向上させることを目指しています」。

 

金型はクルマのデザインを実際の形状に変換する機能を果たす為、マツダの「クラフトマンシップ」、「アート領域にまで引き上げられたデザイン」、「イノベーション」の柱となっている。 「私たちのクルマの品質は、私たちが手掛けている金型の品質によって左右するんです」と佐伯は話す。

マツダ株式会社:匠の技を誇る技術者たち

   

佐伯はデジタルモーション分析を使用して、スキルを定量的に分析している。
それらの分析では、41個のライトマーカーを備えた技術者が鋼片を研磨し、モーションキャプチャカメラが筋肉の使い方、体重分布、運動、姿勢、腕の角度、視線の動きを測定する。完成品、所要時間、そしてカメラが計測したデータは20年の経験を持つ匠のデータと比較され、トレーニング内容の調整に使われる。このマツダのプログラムは2020年度(第40回)精密工学会技術賞を受賞した。

マツダ生産部門における私たちの使命は、コモディティを大量生産するのではなく、
希少で美しくエレガントな商品を提供することです。
佐伯 千春

佐伯によると、このトレーニングプロセスにより、20年の匠への道筋はすでに10年に短縮され、初級/中級への道筋は7年から2年に短縮された。これまでは雇用年数や監督者の観察によって等級分けがなされていた。しかし今では、仕事の質に基づいて等級分けされているという。

 

佐伯にマツダに入社した理由を尋ねた。「祖父は大工でした。私たちの家では、職人を尊敬し、賞賛していたんです。その精神が私を動かし、いまでは魂動デザインを忠実に実車で再現するための職人育成に、従事しています。マツダにおいて、クルマは単なる鉄の塊ではありません。生き生きとした活力を感じさせる、一種のアート作品なのです」。

 

「魂動デザインの概念が、私をツーリング製作部に誘いました。
魂動デザインは、金型技術者の芸術、スキル、技術によって支えられているんです」。

佐伯によると、このトレーニングプロセスにより、20年の匠への道筋はすでに10年に短縮され、初級/中級への道筋は7年から2年に短縮された。これまでは雇用年数や監督者の観察によって等級分けがなされていた。しかし今では、仕事の質に基づいて等級分けされているという。

 

佐伯にマツダに入社した理由を尋ねた。「祖父は大工でした。私たちの家では、職人を尊敬し、賞賛していたんです。その精神が私を動かし、いまでは魂動デザインを忠実に実車で再現するための職人育成に、従事しています。マツダにおいて、クルマは単なる鉄の塊ではありません。生き生きとした活力を感じさせる、一種のアート作品なのです」。

 

「魂動デザインの概念が、私をツーリング製作部に誘いました。
魂動デザインは、金型技術者の芸術、スキル、技術によって支えられているんです」。

   

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