オーストラリアの熱帯気候区分に属する北クイーンズランド州。
ここで「今日の行動が明日を作る」という信念を掲げ、
自然環境保護に取り組む住民たちと出会った。

Words James Jennings / Images Jason Ierace

クイーンズランド州最北端、ファー・ノース・クイーンズランド地域の海沿いの町、ポート・ダグラスは、その独特な地形により地球上で最も魅力的な場所のひとつだ。そこには2,300kmのグレート・バリア・リーフと1億8,000万年の歴史を持つ太古の森、デインツリー・レインフォレストという2つの世界遺産が存在している。前者のグレート・バリア・リーフは自然界の七不思議のひとつで、今回、我々は熱帯雨林とその中で暮らし、働く人々との出会いを求めて行った。

ポート・ダグラスの近くにあるキャプテン・クック・ハイウェイは人気の観光スポットだ。オーストラリア北東海岸のコーラル・シー(珊瑚海)に沿ってワインディングする、美しい高速道路だ。ポート・ダグラスの海岸沿いを今回の旅の相棒、MAZDA CX-5で走っていると、きらきらと光る海面がジルコンサンドメタリックのボディに美しく反射した。

 

この地域がこれほどまでに自然豊かであることを考えると、住民が環境に配慮したライフスタイルに熱心に取り組んでいることは驚くべきことではない。最初に訪れたのは、自家栽培のオーガニック食材を使用する東南アジア料理学校、オークス・キッチン&ガーデンだ。

学校に到着すると、プロのシェフで園芸愛好家でもあるレイチェル・ブーンが出迎えてくれた。学校の敷地を案内しながら、レイチェルは近くの木に熟したドラゴンフルーツを指差し、「ここは熱帯気候なので、他では見かけない珍しいフルーツが育つんですよ」と話した。

「東南アジアの食材が多く育ちますし、タイ料理の食材も幅広く揃います。」

緑豊かな4エーカー(約16,000㎡)の敷地で、「農場から食卓へ」を意味するファーム・トゥ・テーブル体験を提供するシェフのレイチェル・ブーン。提供されるのは、見た目が鮮やかで、味わい豊かな料理だ。

自ら食材を育て、ここを訪れる人々に食事として
提供することが大きな喜びです

レイチェル・ブーン

日々食材を収穫する家庭菜園でパーマカルチャー(永続可能な社会を目指した農業システム)を実践して、レイチェルはこの土地の気候や環境と共生している。

「メニューは、その日収穫できる食材で決まります。熱帯気候に適応し、使い勝手が良い食材を育てているからこそ、味わい深く新鮮な食事を提供できていると自負しています。」

 

人々が集い、美味しい食体験を共有することは、彼女の人生の中で大きな喜びのひとつである。

「食材を育て、皆に楽しんでもらえるよう盛り付けることに喜びを感じます。だからこそ、食や料理に情熱をもって取り組むことができるのだと思います。」

 

レイチェルに別れを告げ、CX-5の優れたAWDシステムで悪路を難なく走破し、自らの道を切り開く職人に会いに行った。

手作りのオーガニック・ファッションを手掛ける有名デザイナー、リア・ケリーは子どもの頃、彼女の祖母から裁縫を教わり、自然素材を使ったアイテムを専門とする。使われるのは麻、パイナップルの繊維、バナナの樹皮などで、作品はすべて彼女のオフグリッド(ライフラインを自給自足する)の自宅で丁寧に作られている。

バナナの樹皮、竹やパイナップルの繊維のような自然素材を使い、魅力的なデザインを手掛けるリア・ケリー。彼女の作品は、ロンドンやパリのファッションウィークで紹介された。

サステイナブルな生き方、働き方は自分や地球のため
だけではなく、次世代のため

リア・ケリー

「私がやっていることは、ファストファッションの真逆。1つの作品を創るのにかなりの時間がかかるし、耐久性を念頭にデザインを行っているわ。それぞれの作品を、全身全霊を注いで作っています」とケリーは語る。

「これは日々の生活を送る上で、重要なことだと思っているわ。サステイナブルな生き方、働き方は自分や地球のためだけではなく、未来を担う次の世代のためにもなると信じています。」

 

自らのデザインがロンドンのファッションウィークで取り上げられ、国際的な注目を集めたリアは、彼女独自の作品を通じて、世界に喜びを届けられると感じている。

「快適で思わず笑顔になってしまう服を纏えば、気分が上がるでしょ?それが周囲の人々に良い影響を与え、ひいては社会全体の行動にもつながると信じているわ。」

 

ポート・ダグラスのじっとりとした湿気も、CX-5のシートベンチレーションのお陰で車内はとても快適だ。我々はインスピレーションを感じ、高揚しながら次の目的地へと出発した。

この日最後の目的地、私設の民族植物園「ザ・ボタニカル・アーク」のオーナーである、ニューヨークから移住したアラン・カールとスーザン・カールは、自分より他者を優先する日本の「おもてなし」の精神を大切にしている。彼らは1982年に樹木のない農場を購入し、40年以上の歳月をかけて、この場所を緑豊かな楽園に変えた。この活動は食料から香辛料、住居、医薬品、化粧品、繊維、油、染料に至るまであらゆる用途に使用される何千もの貴重な熱帯雨林植物を保護することに貢献している。

35年前にスタートした自給自足農場、「ザ・ボタニカル・アーク」は現在民族植物園へと進化し、食品、薬品、化粧品などの商品への植物の利用を発信する場となっている。

私たちが世界に発信したいのは、
「地球に敬意を」というメッセージ

アラン・カール

環境保全プロジェクト、「ザ・ボタニカル・アーク」の始まりについてアラン・カールに聞くと、「ただ家族を養いたいというささやかな想いからでした」と言って彼は笑った。「私たちはただ幸せで健康的な生活を送りたかったのですが、私がのめり込んでしまったのです。」

訪れた「ザ・ボタニカル・アーク・リトリート」の敷地面積は8ヘクタール(80,000㎡)で、2軒の家と人工池はすべてアランと彼の妻、スーザンによって作られた。「道路も、小川にかかる橋も、今ここにあるものは、基本的にすべて私たちが作りました。すべて好きでやっていることなんです。」

 

カール夫妻は植物を調達するために世界中の熱帯雨林を40回以上訪れ、アフリカのパンノキからアメリカ大陸のドラゴンフルーツまで、あらゆるものをオーストラリアに持ち帰った。

 

アランに勧められて味見したミラクルフルーツは、舌の一部の受容体を覆い隠すため、ライムのような酸っぱい味が突然甘く感じられる。南米のマメ科の植物アイスクリーム・ビーンは、天然の綿菓子だ。

 

「地球を本当に大切にしたいのなら、まずは熱帯雨林からスタートするべきだと思います。熱帯雨林は、大自然の宝庫ですからね。」

 

「私たちが後世に引き継ぎたいのは、未来で活用できるリソースの道具箱」とアランは語る。カール夫妻にとって、ザ・ボタニカル・アークは「エデンの園」であり、社会への贈り物。おもてなしの具現化なのだ。

「我々が世界に発信したいのは、地球に敬意をというメッセージ。私たちを育ててくれた母なる大地を大切にしようということです。」

 

躍動感と快適性を備えたCX-5で訪れたオークス・ガーデン&キッチン、デザイナーのリア・ケリーのスタジオとザ・ボタニカル・アークは、多くの学びを与えてくれた。サステナビリティ、イノベーション、そして地元を大切に思う健全な意識が根付いた地域を訪れ、未来への希望が感じられるようになった。リア・ケリー、レイチェル・ブーン、そしてアランとスーザン夫妻というリーダーがいれば、地球の未来は明るくなるだろう。

ジェームズ・ジェニングスのMAZDA CX-5寸評

今回の旅では、自動車とエンターテインメントを専門とするライター兼プレゼンターのジェームズ・ジェニングスが、ジルコンサンドメタリックのCX-5のステアリングを握った。熱帯気候の地域での冒険では、CX-5のマツダ インテリジェント ドライブ セレクト(Mi-Drive)のオフロードモードによって、最大限に発揮された力強い動力性能が熱帯の冒険に最適な相棒だった。

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