リアルに起こっている事故実態にも注視
死亡、重傷者ゼロを目指すクルマづくり
私たちマツダは死亡、重傷者ゼロを目指し、これを実現できるよう、衝突安全性能の開発に取り組んでいます。
具体的には、実際に起きている事故を分析、再現したうえで、その問題点を解決するために開発を行います。この考え方は、法規や自動車アセスメントの評価プログラムであるNCAP*に関しても同様のアプローチです。それに加えて私たちは、日本の追突事故など実際の事故にも注視し、発生している事故データを参考に安全性能開発を行う等の取り組みを重ねて、死亡、重傷者ゼロを実現できるようなクルマづくりを目指しています。
- Global New Car Assessment program(Global NCAP):公的な自動車衝突テストのことで新しい車を衝突させることで乗員の安全度合いを調べるために行われる安全性能評価試験のこと。
開発者インタビュー動画
衝突の瞬間はわずか0.1秒という世界
さまざまなアプローチで技術を磨く
安全性を評価するうえで欠かせないのが衝突実験です。衝突実験というと一番イメージしやすいのは、クルマを実際にぶつけるものだと思いますが、実際にはそこに至るまでに部品単品で潰したり、スレッドといって加速度を与えて車の挙動を確認するといった、実車をぶつける前のテストや最終的な衝突実験も100種類以上のモードで行います。
衝突の瞬間は0.1秒という世界で、高速度カメラを使うことで部品の変形を外から確認することはできますが、実際に車両の中の部品変形や破断のタイミングを確認することはできません。そのためCAE*と呼ぶコンピューター上でクルマをぶつけ、部品変形を再現するシミュレーションを何度も行い、 死亡、重傷者ゼロを実現できるようなクルマづくりを目指しています。
- コンピューター技術を活用して製品の設計・製造や工程設計の机上検討を行うこと。
デザインをはじめ他部門とも連携
問題を共有し、一緒に解決していく


クルマの開発には多くの技術者が携わっており、理想とする衝突安全性能を実現するためには他の部門との協業が不可欠となります。以前は、デザイン部門とよく車両後端のバンパーレインなどで意見をぶつけ合うことがありましたが、近年ではここは衝突安全に効くポイントだというのをデザイナーに理解してもらい、そのうえで、デザインをしてもらえるようになりました。
例えば乗り心地や強度といった性能に関しても、開発ステージごとに自分たちの問題を共有し、それらを一緒に解決していくというプロセスになっています。
もちろん実際にはまだまだ多くの苦労がありますが、妥協してしまうとお客様の安全を保てなくなる、自分や仲間の家族が乗るクルマの安全性を担保できなくなるということを常に意識して開発するようにしています。
クルマの開発には多くの技術者が携わっており、理想とする衝突安全性能を実現するためには他の部門との協業が不可欠となります。以前は、デザイン部門とよく車両後端のバンパーレインなどで意見をぶつけ合うことがありましたが、近年ではここは衝突安全に効くポイントだというのをデザイナーに理解してもらい、そのうえで、デザインをしてもらえるようになりました。
例えば乗り心地や強度といった性能に関しても、開発ステージごとに自分たちの問題を共有し、それらを一緒に解決していくというプロセスになっています。
もちろん実際にはまだまだ多くの苦労がありますが、妥協してしまうとお客様の安全を保てなくなる、自分や仲間の家族が乗るクルマの安全性を担保できなくなるということを常に意識して開発するようにしています。
エネルギー吸収効率の向上と軽量化を実現した
CX-80のテーパー形状リヤフレーム


CX-80の衝突安全においてぜひ注目していただきたい部分が、テーパー形状にしたリヤフレームです。この構造を採用することで、後ろから順に高い荷重を持続的に出せるようになり、より高いエネルギー吸収効率を達成しています。実はMAZDA3の開発時からリヤフレームのエネルギー吸収効率を高める研究をしてきました。
CX-80の衝突安全においてぜひ注目していただきたい部分が、テーパー形状にしたリヤフレームです。この構造を採用することで、後ろから順に高い荷重を持続的に出せるようになり、より高いエネルギー吸収効率を達成しています。実はMAZDA3の開発時からリヤフレームのエネルギー吸収効率を高める研究をしてきました。


MAZDA3においても、そういった技術を織り込んだリヤフレームというのを入れていますが、さらにそこからより安定的に荷重を出せるようにしたのがCX-80のテーパー形状にしたリヤフレームです。
このテーパー形状によりエネルギー吸収効率は従来の2倍になっているだけでなく、軽量化にも寄与しています。重量自体が増えると衝突安全を達成するのが難しくなるため、PHEVやMHEVなど車重のあるCX-80でも、このフレームの採用により、最小限の重量アップとエネルギー吸収効率の向上を両立することができました。
MAZDA3においても、そういった技術を織り込んだリヤフレームというのを入れていますが、さらにそこからより安定的に荷重を出せるようにしたのがCX-80のテーパー形状にしたリヤフレームです。
このテーパー形状によりエネルギー吸収効率は従来の2倍になっているだけでなく、軽量化にも寄与しています。重量自体が増えると衝突安全を達成するのが難しくなるため、PHEVやMHEVなど車重のあるCX-80でも、このフレームの採用により、最小限の重量アップとエネルギー吸収効率の向上を両立することができました。
自分はこの仕事で何人の人が救えるのか?
常に疑問を持ちながら仕事に取り組んでいる
衝突安全の仕事に携わるようになり、事故で亡くなられている方、重傷を負われている方たちの人数が気になるようになりました。
衝突開発の途中では、様々なプロセスで何度もNGが出ますが、その時は、お客様が乗る前でよかったと思うようにしています。
そして、自分はこの仕事で何人の人々を救えるのか?そんな疑問を持ちながら日々、死亡、重傷者ゼロを実現できるようなクルマづくりに取り組んでいます。
安全なクルマをつくるのは一番大事なことですが、お客様が間違った使い方をすると機能は活かせません。
その為、最近ではシートベルトの啓発活動のような「安全なクルマを安全に使おうという社会的な活動」にも共感し、今後も積極的にそのような活動の力になっていきたいと思っています。


MAZDA CX-80
衝突性能開発部
佐伯 卓哉
MAZDA CX-80
衝突性能開発部
佐伯 卓哉